2011年には新聞もテレビもなくなる?~『2011年新聞・テレビ消滅』
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- 佐々木 俊尚
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アメリカを代表する高級紙のニューヨークタイムズが、破綻の一歩手前まで追い込まれているようだ。1千億円以上の負債を抱えており、今年の5月にあった約400億の返済のタイミングには、メキシコの富豪から融資を受けることで、なんとか倒産を回避したという状況。2007年に落成したばかりの豪華な自社ビルを一部売却。そればかりか、傘下の野球チームであるボストン・レッドソックスの売却まで検討するはめに。つい昨日の新聞には、編集部門の従業員100人を年末までに追加リストラすることが報じられた。なぜ、これほどまでにニューヨークタイムズが苦境に陥っているのか。それは、新聞が売れなくなり、広告も入らくなってきているからである。
ところで、日本。同様に新聞を読む人は年々激しい勢いで減り、雑誌の休刊ニュースが飛び交っている。かつては皆が見ていたテレビもいまや「下流の娯楽」「富裕層は見ない」などと指摘され、都会では人々の話題にもあがらなくなってきた。マスメディアがものすごい勢いで衰退している今、目を背けることのできないジンクスがある。
"アメリカのメディア業界で起きたことは常に三年後の日本でも起きる"
つまり、アメリカでは2008年に多くの新聞社が倒れ、多くの街から伝統ある地方紙が消え、「新聞消滅元年」となった。3年後の2011年、日本では一体何が起こるのだろう。2011年といえば、テレビ業界において2つの大きなターニングポイントを迎える。アナログ波の停波による完全地デジ化と情報通信法の施行。これらによりテレビ業界は劇的な業界構造転換の波へとさらされる。
何社かは破綻し、業界再編が起こるかもしれない。とはいえ、数社は新聞やテレビの企業として生き残ってはいくだろう。しかし、生きのびたとはいえ、もう「マスメディア」とはいえない別のものに変わっているかもしれない。