「死体洗いのバイト」は本当にあるのか? ~『都市伝説の正体』
- 『都市伝説の正体-こんな話を聞いたことはありませんか? (祥伝社新書159)』
- 宇佐 和通
- 祥伝社
- 840円(税込)
- >> Amazon.co.jp
- >> 本やタウン
大学病院では解剖実習のため死体を保管する部屋があり、その死体を洗うバイトがある。
という「死体洗いのアルバイト」や、
ピアスの穴を開けたら耳たぶから白い糸くずが出てきたので、それを引っ張った。その糸はかなり長かったが、どんどん引っ張り続けるとある時点でブツンと糸が切れ、その瞬間、目が見えなくなった。
という「耳たぶから糸」という話しを聞いたことはないだろうか? これらはいわゆる「都市伝説」と呼ばれるストーリーだが、翻訳家でノンフィクションライターの宇佐和通氏は、都市伝説の中でも特別有名な「死体洗い」と「耳たぶの糸」の謎を、自著でいとも簡単に解き明かしている。
まず「死体洗い...」について宇佐氏は「47都道府県の病院にアトランダムに電話を入れ、死体洗いのバイトはあるかを尋ねたが、いずれの病院からも『ノー』という答えが返ってきた」という自らのリサーチ結果を披露。その上でこの都市伝説は「1957年に大江健三郎が発表した『死者の奢り』という小説の主人公が死体置き場でアルバイトし、多くの死体に囲まれた暗い部屋で黙々と作業している様子が、この都市伝説のモチーフである」と断定する。
また「耳たぶ...」については「耳には視神経は通っていない」と医学的に一刀両断。ただし、取材したアクセサリーショップによれば「耳たぶから白い糸のようなものが出てくることはあるが、その正体はシャンプーのかす」ということらしい。
このように「都市伝説には何かしからのルーツが必ずある」と著者の宇佐和通氏。その言葉を信じて、まわりで囁かれる都市伝説を検証してみるのもおもしろいのではないだろうか。