渋滞の先には何がある?~『「渋滞」の先頭は何をしているのか?』

「渋滞」の先頭は何をしているのか? (宝島社新書 291)
『「渋滞」の先頭は何をしているのか? (宝島社新書 291)』
西成 活裕
宝島社
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 「ETC高速1000円乗り放題」の実施により、連休中の高速道路が混むことが増えた。渋滞にハマると必ず思い浮かぶのが「渋滞の先頭は何をしてるのだろうか?」という疑問。事故や料金所が先頭なら理由は明らかだが、渋滞を抜けた後に「今の渋滞は何だったんだろう?」と不思議に思うようなことも多い。数理物理学を専門とする西成活裕氏(東京大学大学院教授)は、こうした「自然渋滞」のメカニズムをこう分析する。

 西成氏は、自然渋滞を
1 ある車のスピードが何らかの理由で低下する
2 後ろの車は危険を察知し、軽くブレーキを踏む
3 その後ろの車はより強くブレーキを踏む
4 十数台後ろの車は完全に停止してしまう

 という「ブレーキの連鎖」により起こるものだと説明。このような些細なことで渋滞が起こるものだということを述べた後で、「急いでいると車間距離を詰めたくなるものだが、車間距離を保つことで前方の交通事情の変化に対応でき、ブレーキの回数が減る。すると結果的にはブレーキの連鎖を断ち切ることができ、渋滞を緩和、回避することができる」

 と、自然渋滞への対応策を紹介している。

 そして問題の「渋滞の先頭は何をしているのか」については、「自然渋滞では次々と先頭が入れ替わりながら、渋滞のかたまりが後方へと伝わっていく。つまり誰もが瞬間的に渋滞の先頭になっている」と積年の疑問に回答。

 現在高速道路では自然渋滞が渋滞の理由第1位になっているため、かなりの数のドライバーが「渋滞の先頭」になっていることになる。実はあなたも、渋滞の先頭にいたのかも?

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