SEXの回数が少ない日本人~『セックスレス亡国論』
- 『セックスレス亡国論 (朝日新書)』
- 鹿島 茂,斎藤 珠里
- 朝日新聞出版
- 735円(税込)
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第1位 ギリシャ 87%
最下位 日本 34%
これは、性生活の各国比較を行っている英国コンドーム会社デュレックスが、26カ国約26,000人を対象に行った最新調査(2008年4月発表)で、「週1回以上性生活がある」と答えた国民の比率。なんと日本は最下位。また「性生活満足度」においても、「満足している」の世界平均が44%だったのに対し、日本はわずか15%だった。
セックスの回数が少なく、満足度も低い──。セックスに消極的で、あまり楽しんでいないという状況は、日本人のセックスレスにつながる。ちなみにセックスレスの定義は、日本性科学会によると「特殊な事情がないのに、カップルの合意した性交渉またはセクシャル・コンタクトが1カ月以上なく、その後もその状態が長期にわたることが予想される場合」。厚生労働省の調査(2007年)では、日本の夫婦の3組に1組がセックスレスで年々増加傾向。さらに、日本では「セックス」と口にするのもはばかれる抑圧社会。セックスレスに悩んでも、誰にも打ち明けられない環境が問題視されている。
『オール・アバウト・セックス』『悪女入門』といった著書があり、明治大学国際日本学部教授の鹿島茂氏は、セックスレスが増える理由に若者の「面倒くさい」という感覚が大きく関係していると指摘する。よいセックスのためには用意周到な仕込みが必要。おいしい食事や会話などの小道具に加え、男も女も自身をセクシーに見せる演出なしには「その気」にもなれない。マンネリ防止のためには、絶えず挑発し合ったり感情をぶつけ合ったりする努力も求められる。
この新世代日本と対極にあるのがフランス。ちょっとした渋滞でもクラクションを鳴らす国民が、長々とキスをして車道に立ちはだかる男女には腹を立てない。会議でも「妻からの電話はつなぐように」と秘書に伝えたり、自分の嫉妬心を煽るために妻をわざわざ異性の目にさらしたりと、面倒くさい所業も手間ひまも、恋愛のためなら何でもやってしまう。
男と女の間の磁力が消えつつある日本の将来は、果たして明るい?