ロングのヘアスタイルがはやると牛丼が98円になる?~『ソクラテスの人事』

ソクラテスの人事
『ソクラテスの人事』
NHK「ソクラテスの人事」制作班
祥伝社
1,260円(税込)
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 古代ギリシアの哲学者、ソクラテスは言った。
 「よりよい道を探しつづけるのが最高の人生」だと──。

 先の読めない現代、企業はこれまでにない異能の人材を求めて、答えのない問題を採用試験で課す傾向にあるようです。求めているのは、新たな仕事をゼロから発想し、課題解決していく力。すなわち「地頭力」を持った人。採用試験では、どんな状況にも対応できるやわらかな頭と、物事の本質をとらえ、自分の頭で考えて答えを出す力が問われています。

 「風が吹けば桶屋が儲かる」の論理展開の要領で、「ロングのヘアスタイルがはやると牛丼が98円になる」にたどり着くまでの必要な間の出来事を4つ書きなさい。

 これはヤフー株式会社で実際に出題された問題。話を展開していく際の論理的な思考力と発想力を見るのだとか。

 NHKのクイズ番組「地頭クイズ・ソクラテスの人事」は、企業の採用試験で実際に出題された難問・奇問にタレント、俳優、お笑い芸人、大学教授ほか各界の異才たちが挑戦し、各企業の現役採用担当者たちが本気で採用したい人材を決めるガチンコ番組。
 
 その番組内で、前出の問題に合格したのは俳優の山崎樹範さん。「ロングのヘアスタイルがはやると」→「ワンレン、ボディコンが再びはやる」→「ディスコブーム到来」→「女性がヘルシー志向に」→「牛肉が余る」→「牛丼が98円になる」という解答は、論理的に話が展開されながらもやわらかさや遊び心がヤフーっぽいと評価されました。

 評価とは、個性のどの部分に光を当てるかで大きく変わってしまうもの。この問題では発想力に注目したから山崎さんが選ばれましたが、行動力を重視すると別の人が合格することも珍しくないのだそう。現代は、評価の基準が揺らいでいる時代。だからこそ、地頭を磨き、個性を鍛えることが特に重要なのかもしれません。自らの「頭」で時代を切り開く現代のソクラテスを目指して、いい会社から内定を勝ち取りたいものです。

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