レキジョならぬシロジョ(城女)が急増中!?~『日本の城』
- 『日本の城 (山川Mook 1)』
- 中井 均
- 山川出版社
- 1,680円(税込)
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ここ最近の戦国武将人気で、城めぐりが密かなブームになっている。織田信長、上杉謙信、武田信玄などの戦国武将グッズを販売する「もののふ」(新宿区)では、武将ゆかりの名城を探訪する「城跡めぐりツアー」を実施。11月3日に武田信玄と上杉謙信の争奪目標となった箕輪城(群馬県高崎市)をめぐるツアーを開催したら、参加者の大半が若い女性だったという。「毎回、キャンセル待ちが出るほどの盛況ぶりです。今月3日の開催には参加者30人のうち3分の2が20代~30代の女性。いわゆる歴史好きな女子"レキジョ"と呼ばれる方が大半でした」(「もののふ」を主宰する田中秀樹さん)
ツアー終了後には「二次会」と称する飲み会が開かれ"城"をネタに盛り上がるというから独身男性には朗報! そこで城めぐりにぜひ活用してもらいたいのが国内127の名城・珍城を網羅した『日本の城』(山川出版社)。城それぞれの特徴や見どころを写真付きで紹介しており、レキジョとの"城トーク"に使えそうなネタも満載だ。
例えば、そもそも「城とは軍事的な防御施設として築かれたもの」という点は意外と見過ごされがち。天守閣や石垣のある最も有名な城の形態は「織豊(しょくほう)系城郭」と呼ばれるもので、そのルーツは織田信長にあると教えてくれる。
「信長による安土城築城によって日本の城は"土の城"から"石の城"へと大きく変化する。この変化は石垣の導入に加えて瓦、礎石建物という三つの要素から構成。城郭は臨時的な防御施設から恒常的な施設となり、私たちがイメージする城となった」とある。 同時に「統一政権のシンボルとして、単なる防御施設としての城から"見せる城"へと昇華した」のもこの時期なんだそう。
こうした基礎知識を知れば、城の見方がガラッと変わってくるから面白い。
本書によれば、豊臣秀吉が築城した大坂城の外堀の幅は72mと日本最大規模。「まず敵の攻撃は不可能」ということなのだが、逆に「城内からの迎撃もできなくなってしまっている」と著者は指摘。もしかして、大坂夏の陣で徳川軍の砲撃に遭って落城してしまったのもこれが原因?などと想像力をかき立てられ、もしかしたら歴史をぬりかえる真実に気づくことだってありそうだ。
歴史好きな人はもちろん、そうでなくてもただ今急増中の"シロジョ"と仲良くなりたい男性は必読の一冊だ。