食料自給率40%で生き抜けるのか?~『食料自給率100%を目ざさない国に未来はない 』
- 『食料自給率100%を目ざさない国に未来はない (集英社新書)』
- 島崎 治道
- 集英社
- 714円(税込)
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農水省の発表によると、1960年代には79%だった日本の食料自給率は年々下がり続け、97年には41%まで低下。そして、2006年にはついに39%に達してしまいました。この数字をみるだけでも、日本は食料の半分以上を海外からの輸入に依存し、食料確保に関していえばリスクの高い国ということがわかります。
2006年の世界の穀物生産量は約22億2100万トン。この量が約65億人の世界人口に対して均等に供給されれば、1日1人あたり約940グラムになります。これをカロリーに換算すれば3300カロリーに相当し、単純に計算すると世界には飢餓が発生しないことになります。しかし、2008年の暫定推計では、世界には9億6300万人の栄養不足の人々がいることがわかっています。余剰農産物を輸出している国が食料不足の国に対して食料支援をすれば、世界各地の食料不足は解消するはずなのに・・・。
アメリカは128%、フランスは122%と実は他の先進国は穀物自給率が100%を超えています。つまり、工業国であると同時に農業国でもある。対してわが国は2007年に1%回復して40%。そんな日本人の多くは、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、デパートの地下食品売場に食料品があふれている光景を日常的にみているので、食料品があることが当たり前だと思っています。しかし、当然のことながら、食品売り場は単なる売り場で、食料品の生産地ではありません。
わが国の食品在庫は、政府が備蓄している穀物を含めても、1ヶ月分にも満たないそうです。食料生産は、天候や災害の影響を避けることはできませんし、国際経済の動向にも左右されます。そして、国際関係は常に不安定。「自らの命は自分で守る」という考え方に立てば、これは極めて危険な状況なのかもしれません。