ウェブビジネスは儲からない?~『グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業』

グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業 (幻冬舎新書)
『グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業 (幻冬舎新書)』
夏野 剛
幻冬舎
798円(税込)
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 今年4月、USENが運営していた無料映像配信サイトの「Gyao」がヤフーに売却され、ヤフー動画に統合された。2005年にサービスを開始し、広告収入を頼りに運営を続けてきたGyaoだったが、4年以上経っても経営赤字を解消することはできなかった。

 また、ネオが06年から運営していたブロードバンド映像配信ポータルサイト「ミランカ」も、この6月末で運営を停止した。映画や海外ドラマ、バラエティ番組などを有料配信していたが、運営を維持できるまでの収益を出すことができなかった。
 
 これらの例に限らず、ネットの特性を生かし、それによって得たメリットを消費者に還元しているとは言い難いビジネスが、ネット上にはたくさんある。グーグルのおかげで検索技術が発達し、情報が簡単に入手できるようになり、誰でも簡単にウェブビジネスを始められるようになった。しかし、その本質を理解できていない会社が多く、失敗が続いている。
 
 これは、いま日本の企業を引っ張っている経営者がインターネットに対して知識が浅いのが、大きな原因。「とりあえずネットを使って既存のサービスを提供しておけばいい」といった考えが透けて見えてしまう。

 04年以降に流行した言葉がある。「WEB2.0」だ。本質をとらえていようがいまいが、「次世代のウェブのカタチ」として大いにもてはやされた。特に発信する内容がないにもかかわらず、「とりあえず、開発者ブログをはじめよう」「とりあえず、社内での情報開示やコミュニケーションを充実させるために社内SNSを構築しよう」などといった考えがまん延した。
 
 果たして、今でも活発に活用している企業はどれくらいあるのだろうか。アマゾンやmixiのように成功する企業が現れると、同じように同じウェブの技術を駆使しさえすれば、自分たちのビジネスもうまくいくに違いないと思ってしまう企業が多すぎる。
 
 そして、いま最も注目を集めている言葉がある。その言葉は、ハードウエア、ソフトウエア、データのリソースをネット上のサーバー経由で利用する環境や、そのスタイルを指す「クラウドコンピューティング」。やはり、この新技術で成功をおさめる会社も限られるだろう。

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