鳩山家に学ぶ総理大臣の作り方~『鳩山由紀夫と鳩山家四代』

鳩山由紀夫と鳩山家四代 (中公新書ラクレ)
『鳩山由紀夫と鳩山家四代 (中公新書ラクレ)』
森 省歩
中央公論新社
756円(税込)
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 2009年8月30日、第45回衆議院議員選挙が行われ、戦後初の「二大政党による政権交代」となり民主党・鳩山由紀夫首相が誕生しました。鳩山首相といえば、祖父の一郎氏も首相、父は大蔵大臣で弟の邦夫氏は自民党議員と、政治家一家で名家であることは周知の事実。しかしこの鳩山家がここまでの財力と名声を手に入れられたのは、実はその奥様たちの力によるものだったようです。

 初代、和夫氏の妻、春子氏は共立女子職業学校(現在の共立女子学園)の創立者の一人で明治期における女子高等学校教育の発展に寄与した先駆者。また、夫の出世のために東奔西走した烈女としても、教育ママとしても有名でした。午前三時半にはすでに起床し、長男・一郎氏、二男・秀夫氏の2人に英語や数学や日本外史などを教え、休日に一家で動物園や郊外に出かける際にも鉛筆と手帳を持たせ、見聞きしたことをその場で記入させる。さらに、帰宅してからも日記を書かせて作文の練習をさせていたとか。

 また、後の総理大臣・一郎氏の妻になった薫氏は共立女子学園のほか、同学園傘下の長を務め、民間女性初の勲一等瑞宝章を受賞。さらに娘たちの嫁ぎ先には、後の日本輸出銀行総裁、ソニー取締役などになったエリートをそろえ、鳩山家の閨閥(けいばつ)は一気に拡大しました。
 
 そして最も華々しい閨閥を鳩山家にもたらしたのが、鳩山由紀夫首相の母・安子氏。現在、偽装献金問題でも話題となっている方ですが、安子氏の父はブリヂストンタイヤ創業者の石橋正二郎氏。また、妹の娘の旦那の父が宮澤喜一元首相や、父の弟の妻の父が池田勇人元首相などなど政界、財界、学界などを横断する超一流の血脈を鳩山家にもたらしました。

 さて次は幸氏。政治家や財閥などに目立った系譜は見当たらないものの、太陽を食し、金星にも行き宇宙人とも遭ったことがあるようですから、その人脈は我々の想像を遥かに超えたところにありそう。今後の鳩山家は、日本を超え、地球を超え、宇宙にまで閨閥を伸ばしていく可能性があるかも知れません。

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