コミュニケーション能力の本当の意味をご存知?~『仕事耳を鍛える』

仕事耳を鍛える―「ビジネス傾聴」入門 (ちくま新書)
『仕事耳を鍛える―「ビジネス傾聴」入門 (ちくま新書)』
内田 和俊
筑摩書房
777円(税込)
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 「私の長所はコミュニケーション能力が高いことです」

 たまに、こういう発言をする人に出会いますが、果たしてコミュニケーション能力とは一体何なのでしょうか? この発言が出た時点で「この人は、コミュニケーション能力が低い人だな」と思われても仕方がないようです。

 コミュニケーション能力=伝える能力と思っている人が多いようですが、本来は「聴く能力」+「話す能力(伝える能力)」のことを言います。にもかかわらず、「聴く能力」が軽視、もはや無視されているのが実状です。話し方の問題点を指摘されることはあっても、聴き方を指摘してもらえることは、滅多にありません。そういえば学生時代、授業中に友達とお喋りをしていたら「話を聴かないのなら寝てろ」と言われたことがあります。先生も、勉強は教えられても、聴き方までは教えることができなかったようです。

 例えば職場で、上司の話を「聴いているフリ」をして、話が終わった途端に「えっ? 何だって?」と同僚に聞いて回るような人。 部下の話を聴く前に、頭ごなしに怒る上司。どちらも聴き方レベルがとっても低い人たちです。『仕事耳を鍛える―「ビジネス傾聴」入門』の著者で人材育成の専門家・内田和俊さんは「ごめん、もう一回言って」と奥さんに何度も同じ事を言われると「軽い殺意まで感じる」と話します。

 聴き方はもちろん、どのように聴く(質問する)かも、注意しなければなりません。内田さんは「WHY(なぜ、なんで、どうして)」ではなく、「WHAT(何)」で質問することを勧めています。

 ここに二つの質問があります。

・なぜ、それができないのですか。
・何が、その障害になっていますか。

 皆さんはどう受け取るでしょうか。前者は、なんだか責められているような気がしませんか? 後者は、一緒に解決策を見つけてもらえるような安堵感があります。「WHY」で始まる質問は、答えを求める時や、相手を攻める時に頻繁に使ってしまいがち。例えば「なんで恋人いないの?」と聴かれても「こっちが聴きたいよ!」と言い返したくなります。

 今からでも「聴き方」を身につければ、夫婦円満、職場の友好関係が築けるようになるかもしれません。

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