35歳になってから40歳以降を考えても遅い~『35歳の教科書』

35歳の教科書―今から始める戦略的人生計画
『35歳の教科書―今から始める戦略的人生計画』
藤原 和博
幻冬舎メディアコンサルティング
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 リクルートで東京営業統括部長や新規事業担当部長などを歴任し、2003年に都内の義務教育では初めてとなる民間人校長として東京都杉並区和田中学校校長に就任した藤原和博氏。現在は大阪府知事特別顧問や東京学芸大学客員教授などを務めているが、和田中学校の校長として活躍していたころ、「時間という資産」をとても大切にしていたというエピソードがある。

 和田中学校には毎朝バスで通っていたが、帰りはタクシーを使用していた藤原氏。ちょうど1,000円ほどの距離だったため、年間200日とするとタクシー代だけで20万円を使っていた計算になる。この話を同僚の校長先生が聞くと、「考えられないムダ遣い」といって目を丸めたそう。しかし、不規則になりがちで、いつ来るのかわからないバスを暗がりのなかで待っているのはストレスで(行きのバスは始発駅のため決まった時間に出発する)、時間をムダにするよりは、すぐに帰途につけるほうに投資するのは当たり前だと藤原氏は考えたそうだ。

 校長の年収を仮に1,000万円と考えると、1日12時間×200日働くとすると年間の労働時間は2,400時間。時給は1,000万円÷2,400時間で4,000円強となる。時給4,000円で働いていると、15分の価値は1,000円の勘定。したがって、バスを15分待つよりは、タクシーで今すぐ1,000円払って帰るほうが気分もいいし、時間的余裕を得ることができるので投資としては正しいことになる。余剰時間は自分自身の勉強の時間や、家族との時間にもなる。

 今や、組織に埋没していればいい時代は終わりを告げた。それぞれ一人ひとりが独自の価値観、人生観を持ち、自立した個人として人生を設計し、プランニングしてオリジナリティの高い人生を歩まなければならない時代。藤原氏は、人生の醍醐味は40代から自分のテーマを掲げてビジョンを次々と形にしていくことと前置きしながら、「そのためには、35歳から本腰で準備に取りかからなければなりません。しかし、35歳からはただ頑張っても報われないのです。サービス残業しても給料は上がりません。ポジティブシンキングだけでは乗り切れません。これからは戦略的に生きていかなければならないのです」と近著の中で指摘している。

 みなさんは、自分の将来のために自身に投資し、充実した時間を過ごすための戦略を考えていますか?

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