ゴミはいくら集めてもゴミ~『他人から一目おかれる心理技術』
- 『他人から一目おかれる心理技術』
- 内藤 誼人
- 海竜社
- 1,365円(税込)
- >> Amazon.co.jp
- >> HonyaClub.com
- >> エルパカBOOKS
近年のマーケティングでは、不特定多数のお客をつかまえようとするよりは、ごく少数の限られたお客にターゲットを絞ることが、戦略的に行われているそうだ。
たとえば、優良な顧客には徹底的なサービスをするのに対し、他のどうでもいいお客のことは放っておくなどの措置がとられるのである。もともと優良な顧客は、それによってさらにその会社やブランドに対してロイヤリティを高めてくれる。売り上げの8割から9割に貢献するのは、そういう優良客であることもデータから明らかなので、他のどうでもいい客のことなど、放ったらかしでも構わないわけである。
サービス・マーケティングの先駆者ジェームス・ヘスケットによれば、新しいお客を見つけようとするよりも、すでにいる常連客を大切にしたほうが、労力もコストもかからない。新しいお客を開拓するのは予想外にコストがかかる。しかし、優良客あるいは常連客だけを相手にすると、コストを5分の1に減らすことができるばかりでなく、売り上げもアップするという。この作戦は極めて効果的なのだ。
同じことは人脈にもいえる。新しい人脈を作ろうとするよりは、むしろ今ある人間関係を大切にしたほうがいい。新しくつき合う人を10人増やそうとするよりも、そこで浮いた時間を、すでに円滑な関係を築けている人との付き合いにあてるのである。
単純に考えてみてもわかる通り、1人に1時間ずつ、10人つき合うよりかは、1人と10時間付き合ったほうが、相手との関係はより濃密になる。腹を割った付き合いもできるし、お互いにこれ以上ないくらいに仲良くなれる。そして、本当に役立つ人間関係というのは、そういう濃密な付き合いをしている相手だけなのである。
人脈を無意味に増やそうとすると、個々の関係は薄っぺらいものになってしまう。こういう人脈は、自分が困った時には、まったく役に立たない。だから、付き合う人間は絞り込んだほうがいい。相手と濃密な付き合いをしていれば、いざ自分が困った時に「頼むよ」と一言いうだけで、相手もあなたの相談にのってくれる。薄っぺらい人間関係ではこうもいかない。
ゴミはいくら集めてもゴミにしかならない。宝石は1個あれば十分。あまりキレイな例えではないが、間違っているとは言い切れない。