過去10年で収入が4倍超!~『メジャーリーグなぜ「儲かる」』
- 『メジャーリーグなぜ「儲かる」 (集英社新書 529A)』
- 岡田 功
- 集英社
- 756円(税込)
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イチロー、松井秀喜、松坂大輔、etc...。いまや多くの日本人選手が活躍しているメジャーリーグ(以下MLB)。その甲斐あってか、2004年には当時松井が所属していたヤンキースとデビルレイズ(現レイズ)が、2008年には松坂・岡島秀樹が所属しているレッドソックスとアスレチックスが日本で開幕戦を行いました。
現在もダルビッシュ有をはじめ、メジャー移籍秒読みと言われる選手が多数控えており、今後ますます日本でのMLB人気が加熱していくことは間違いありません。いずれはヤンキースvsレッドソックスの超人気カードが日本で実現!?なんて期待も高まりますが、『メジャーリーグ なぜ「儲かる」』の著者・岡田功さんは、MLB関係者の話としてこの夢の組み合わせは「実現しない」と同著のなかで断言しています。
なぜなら、ヤンキースもレッドソックスも、主催試合はチケットがすぐに完売してしまう超人気球団。年間で主催できる公式戦の数は決まっています。わざわざ売り切れることがわかっている地元での公式戦を削ってまで、多額の経費が必要となる日本で試合をする意味がありません。
では、なぜ2004年と2008年の開幕戦は実現したのでしょうか。答えは簡単。デビルレイズも、アスレチックスも人気がない球団だったからです。来日前年の観客動員数はデビルレイズがア・リーグ最下位、アスレチックスもア・リーグで下から2番目。さらに両球団とも収入が少なく、MLB独自の収入分配制度(高収入球団から低収入球団へお金が分配される制度)により、リーグから恩恵を受けているため、グローバル戦略を進めたいリーグの意向に逆らえません。よって日本で公式戦が開催される場合は、必然的に「"旬"の日本人選手を擁する人気球団と貧乏球団の組み合わせ」になるのです。
このほかにも『メジャーリーグ なぜ「儲かる」』では、いまや年間60億ドル(約5400億円)を超える巨大ビジネスとなったMLBの裏側、さらにはWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の裏側を多角的に紹介しています。恐るべし錬金術の実態は、ビジネスマンも必見!?