日本代表はいいチームか?~『サッカーの見方は1日で変えられる 』
- 『サッカーの見方は1日で変えられる』
- 木崎 伸也
- 東洋経済新報社
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間もなくはじまるサッカーW杯南アフリカ大会。しかし、サッカーの詳しいことはプロにしかわからない、と思っていたりしませんか? 見るコツをつかみ、ツボを押さえれば、プロレベルの「サッカーを見る目」を身につけることが可能だとサッカーライターの木崎伸也氏が語っています。
木崎氏が元日本代表の奥大介など、多くのJリーガーを育てた高校サッカー界の名監督とブンデスリーガーを観戦した時のこと。「このチームはボールが横ばかりに動いて、なかなか前に進まない。一方、相手チームはボールがどんどん前に運ばれていく。相手のほうが、いいチームですね」
この言葉のなかに、いいチームを見分けるヒントが隠されています。サッカーにおいて、基本的にパスの選択肢は3つしかありません。1.前へ出すパス 2.横に出すパス 3.後ろに出すパス。
このなかで一番大切なのは、言うまでもなく1.の前へ出すパス。横パスやバックパスが多いと、その間に相手は守備の陣刑を整える時間ができます。するとゴール前に"城壁"が築かれ、攻略は簡単ではなくなるわけです。やはり効果的なのは、どんどん前にパスを出し、0.1秒でも速くゴール前に迫ること。
サッカー界には、こんな格言があります。「パスの本数が多くなるほど、ゴールは遠ざかる」
もちろん駆け引きとして、ゆっくりボールを回すことも大切ですが、得点を狙うには、なるべく横パスやバックパスを減らし、素早く「前へ」パスを出してゴール前に迫るのが手っ取り早いのは言うまでもありません。「ボールが縦方向に進んでいるか」をチェックすると、チームの攻撃がうまくいっているかを測ることができるわけです。
あえてピッチにいる選手を見ないようにして、ひたすらボールの軌道を追ってみましょう。レベルの低いチームだと、すぐに相手にボールをとられ、軌道が途切れてしまいます。一方、レベルの高いチームだと、気持ちがいいぐらいに前方向に線が延びていくはず。
パスの軌道をたどるとき、ひとつの目安になるのが「10秒」という時間。サッカー界では「10秒あれば、相手ゴールへ行ける」と言われているからです。ピッチの縦幅は約105m。パススピードが速ければ10秒で端から端まで到達できます。
だから、攻撃がはじまり10秒たっても相手ゴール前に迫っていないようなら、「得点できるおいしい時間」を逃したと思っていいかもしれません。そこから得点を決めようと思ったら、ひと手間、ふた手間が必要になってくるからです。
日本代表の選手たちが中盤でもたもたと横パスばかりつないでいたら...。得点の可能性はガクンと落ちることを覚えて、今度の試合を見てみましょう。