恋愛は命がけで挑むのが本来の姿?~『パラドックスの悪魔』

パラドックスの悪魔
『パラドックスの悪魔』
池内 了,ワタナベ ケンイチ
講談社
1,500円(税込)
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 恋がしたい。セックスがしたい。そもそも、こうした欲求は何のためにあるのでしょうか。本能的な面から考えれば、それは子孫を残すために他なりません。しかし、そこには多くのパラドックスがあります。

 男は気になる女性の気を惹くために、あの手この手を使ってアピールするものですが、それは人間に限ったことではありません。その代表格と言えるのがクジャクです。クジャクの雄は、雌の気を惹くために少しでも大きく羽根を広げてアピールします。しかし、これには大きな危険が伴います。なぜなら、羽根を広げているときに、キツネやイヌに襲われると、ひとたまりもなく負けてしまうからです。

 人間の男性でも、女性にいいところを見せたいがために、危険なことにチャレンジしたり、人前で強がったりすることは珍しくありません。また、たいていの男性はスレンダーな女性を好むため、女性はダイエットに勤しみますが、過度のダイエットは健康にいいとは言えず、出産に適しているとも言えません。

 子孫を残すためにやったはずなのに、自らの寿命を縮めてしまうというパラドックス。理学博士の池内了さんの著書『パラドックスの悪魔』によると、こうした生きるうえでのハンディをあえて採用し、雌の気を惹こうとすることを「ハンディキャップ原理」と呼ぶそうです。

 この「ハンディキャップ原理」を前提にするならば、恋愛とは命がけで取り組んでもおかしくない行為なのです。このところ草食系男子が話題となって久しいですが、子どもは欲しいけれど恋愛には積極的になれないという人は、考え方を改めるべきかもしれませんね。

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