営業マンがはまりがちなワナ~『自己成長する意思表明の仕方』
- 『サイバーエージェント流 自己成長する意思表明の仕方 ― 「キャリアのワナ」を抜け出すための6カ条』
- 曽山 哲人
- プレジデント社
- 1,500円(税込)
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入社して1年目の営業マンが通る多くの道といえば「クライアントの言いなりになってしまう」ことだと、サイバーエージェントの人事本部長を務める曽山哲人氏は指摘しています。
例えば、インターネット広告の営業の場合。なかなか受注が取れない社員に上司が理由を聞くと「クライアントがやりたくないとおっしゃるので」といいます。
「やりたくない」と言われ「そうですか」と同調して戻ってきてしまう。これではこの社員は「商品を持ってきました」「説明をしにきました」というだけのメッセンジャーでしかありません。
ただ「興味ないんだよね」「予算がないから」「何をしにきたの?」こんなふうに言われると委縮してしまい、意見が言えなくなる気持ちもわかります。でも、「お話だけでも聞いていただけますか」の一言が出れば、もしかしたら「興味がない理由」や「将来は予算が取れるかどうか」といった情報だけでもつかんで帰ることができるかもしれません。
では、なぜそのひと言が言えないのか。それは他責の考えで自分を守っているからです。クライアントに嫌われたくないという気持ちがある一方、無意識で営業活動がうまく進まないことをクライアントのせいにしてしまっているのです。
クライアントに意見が言えない人の特徴は、社内でも見抜くことができます。上司への報告の際に、「で、結論は何なの?」とよく言われている人はいないでしょうか。前提ばかりを長々と話し、結論や自分の意見を言いきれない人です。「この前提ばかり言うワナ」にはまっている人は、クライアントの前でも同じような話し方をすることが多いようです。
相手は意見や、どうすればいいかという結論を知りたいのに、延々と前提ばかりを聞かされるのは苦痛でしかありません。ましてや意見がないわけですから、最終的に相手の言いなりになってしまう。
このような場合、「例えばトーク」が使えるとアドバイスしてあげればいいでしょう。「例えばこういう考え方はいかがですか?」「例えば、○○はどう思いますか?」など、自分なりの意見を相手にぶつけていきながらヒアリングするのです。もちろん、それには業界のこと、クライアントの事業内容をよく勉強し、仮説をたてる必要がありますが。これができるようになれば、クライアントの反応を見ながら対話をすることができるようになります。「こんなことができたらいいと思いませんか」「業界的には今、これが話題ですよね」と、こちらから意見を言えば、思いのほか好印象をもたれるでしょう。
自分の考えをクライアントに出して、クライアントの話もよく聞く、そのうえで自分の意見を述べる。そういういきいきとした会話ができると、クライアントとの関係がよくなってきます。
メッセンジャーではなく、信頼できる人だと感じてくれると「じゃあお願いするよ」との言葉をもらうことができるでしょう。そうなれば仕事は断然面白くなります。
カリスマ人事本部長と言われる曽山氏が綴った初の「キャリア」指南本『サイバーエージェント流 自己成長する意思表明の仕方』には、そんな若いサラリーマンのためになるアドバイスが的確にまとめられています。