紀伊国屋書店、紙の本と電子書籍を販売するサイトを年内にスタート
日本のみならず海外にも店舗をもつ、大手書店の紀伊国屋書店。この老舗書店が電子書籍と紙の本の両方を同じサイトで販売するサービスを年内に開始することが5日、明らかになりました。その名も『紀伊国屋書店BookWebPlus(ブックウェブプラス)』です。
ウェブ上の書店でデジタル版と従来の紙の出版物を扱うことにより、書店側としては売上げの相乗効果が期待できます。そして、読者にとっては、電子版で読むもの、紙で読みたいものの選択ができ、利便性が高まるといえそうです。
紀伊国屋書店は「書物の理想形は紙なのか電子なのか、様々な声が聞かれます」と現状を説明。その上で、「著者や出版社の皆様の、『表現したい、発信したい』と言う気持ちと、読者であるお客さまの『読みたい』と言う気持ちを大切にして、それに応える場としたい」と新サービス開始の理由を語っています。
電子書籍はスタート時に約1200タイトルを用意し、1年以内で3万タイトルに増やす予定。紙の本は約80万タイトルが扱われる見込みです。
iPhoneとiPad向けの配信のみとなりますが、今後新しく発売される電子書籍端末などにも対応していくことが予想されます。
1927年創業の老舗書店の新たな試みだけに、大手出版社も意欲的にこのサービスに参加していくようで、光文社は600タイトル、講談社は300タイトルの電子版を用意するとのこと。その他角川書店など10社が参加するもようです。
注目されるラインナップには、今年度の本屋大賞受賞作、冲方丁の「天地明察」(角川書店)や光文社古典新訳文庫のヒット作、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」も。いずれも初の電子化で、人気作を今までより安く読めることになりそう。新電子書店の誕生に、人々が関心を寄せることは間違いなさそうです。