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├2001年6月
└2001年5月
ZOO
【集英社】
乙一
定価 1,575円(税込)
2003/6
ISBN-4087745341
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
大場 利子
評価:B
閉じ込められた姉と弟。飛行機の中。山小屋の中で喧嘩。ぼくは父と母の三人暮らし。ママと双子の姉妹。別荘。こんな舞台で、短篇十篇。
「この世界に僕は一人きりである」。読んでいる私も、この世界に一人きりになってしまえ。なりたい人、なったとしても耐えられる人は、どうぞ。こわいし、暗いし、でも明るい。それがなんとも気持ち悪くて、二日酔いの朝には読みたくない。
●この本のつまずき→「SEVEN ROOMS」の姉と弟。こんな姉弟になりたい。強く憧れた。
小田嶋 永
評価:B
年下の作家の作品を、体質的にというかそれほどでもない人生経験の差を盾に拒んできたのだが、こちらがだんだんと年をとるにつれ、年下作家の勢力が増えてくるのは当然であり、「食わず嫌い」克服をはかるにはうってつけの、最近評判の乙一である。本作には、それぞれ異なるスタイル・プロットの物語が集められている。基本的には広義のミステリあるいはホラーだろうか。気に入ったのは「陽だまりの詩」というSF的な一編。アンドロイドである「私」は、自分を埋葬するために「私」を作った男と二人で暮らしている。「私」は、「生活しているうちに人間らしくなって」いくが、死がどういうものかわからずに墓掘りの練習を続ける。「死についてわかったかい?」「まだです。どんなものですか?」「怖いものだよ」しかし、本当の死とはそれだけではないことを、やがて「私」は知るのである。「私」は、「私」を「なぜ作ったのですか」と恨みつつ彼を埋葬するのだが…。最後の1行で、「えっ!?」と悲しみが増幅されるのである。こんな物語が書けるのには、正直驚いた。ただ、読者の感性に委ねずに「死とは、○○である」と正解を書いてしまうのは興ざめだった。その辺がまだ甘いね、とオヤジの悔し紛れの一言でした。
新冨 麻衣子
評価:AA
プロの批評家に「何なんだこれは」と言わしめた本書についてどう語るべきか。いやしかし、かなりおもしろい短編集です。うーん、それ以外になんといって他の人に勧めればいいんだろう。無理やり言葉にすると、奇想天外な設定のなかで<死>をモチーフにした作品集といえるだろうか。その物語の世界観の完璧さと、<死>のリアリティーの欠如から、大人のための残酷な童話という感じもする。やっぱ説明になってませんね。しかし、おもしろい!読んで損なしの一冊です。……ホント、何なんでしょうねこれ。
鈴木 恵美子
評価:B
「動物園」じゃなく英語で「ZOO」、ローマ字で読めば「ぞおお」ってしゃれ?ホントにぞおっとするわよ。だって十の短編はどれも死と屍だらけ。入れ替え虐待死の「カザリとヨーコ」、密室殺人ミステリー仕立ての「血液を探せ!」と「Closet」、絶滅世界最後の一人を看取るために作られたロボットが死の意味を知る「陽だまりの詩」、夫婦がお互いを死んだことにして子供と暮らす愚かな精神的虐待の「SO−farそ・ふぁー」これもしゃれかね?同じソファに座っていてもそんなに遠いsignificant other。死屍累々の極めつけは、虐待されて育った男が行き場をなくし自分の殺した屍で家を作る「冷たい森の白い家」、一種の「屍姦小説」とも言うべき「Z00」、七つの部屋に監禁された女達が七日ごとに殺され刻まれて部屋の水路を流れていく恐怖の「SEVEN ROOM」、ハイジャックされた飛行機の中で安楽死の薬を売りつけられるどこか可笑しい「落ちる飛行機の中で」。でも、朝刊を開けば世界はこの小説の中以上に死で満ちあふれてるのに、私たちは結構怖がらず生きている。そんな私たちの無神経を逆なでするかのようなぞおぉっとさせ方が上手いのだ。この人っていつも。
松本 かおり
評価:A
う〜ん、のっけから「カザリとヨーコ」、効くね〜、いいなぁ。自分のなかのドロドロ、たとえば怨念の沼とか嫉妬の池、憎悪の湯壷なんかをグイグイかき回される妙な快感がタマリマセン。双子の「カザリとヨーコ」姉妹のうち、ヨーコ姉だけを激しく虐待するママ。ママの寵愛をいいことにつけあがるカザリ妹。傷だらけのヨーコ姉。この母親やカザリみたいな人間は、現実にご近所にもいそうだなぁ、とマジで思えるリアルな日常描写が怖い。
そして思わず「うっひょぉぉぉぉ〜?」と唸るのは、ヨーコの台詞ひとつで流れを変える展開の巧さ!コトの善悪なんざ動機の前に平伏す。しかも、その話運びの鮮やかさは続く9編にも共通していて、まったく衰えない、どころか、どんどんキレが良くなっていくのだ。
「いったい俺の身に何が起こっているんだ?」「唐突な展開、そして理不尽な不幸よ。ねえ、自分の身にそういうことが起こるって、あなたは考えたことがある?」。考えたことないなぁ……というあなた、ぜひご一読を。
山内 克也
評価:D
乙一の作品は初読。「天才」の称号がやたら喧伝される作家なので興味を持って読んだ。感想は、オビに書かれた北上次郎氏の言葉「何なんだこれは」そのもの。もっとも、賞賛の意味ではなく、「困惑」したのだ。10の短編はどれも意外性をつくものだが、その意外性を演出するばかりに、ストーリーが無機質に感じるのだ。
「カザリとヨーコ」では、小学生の双子の姉妹を登場させ、愛される子と愛されない子を描きつつ、最後のどんでん返しに至るストーリーテリングのうまさには舌をまいた。だが、姉のだらしなさ、妹の聡明さといった二人の性格を意識して際だたせているが、それが何となく白々しく、最後に至るまでの役作りにしか思えない。全体的にいえば、ロールプレイングゲームにも似た、くっきりした人物造形と分かりやすい筋の運び。人間の情感が漂ってこない意外性だけを追求している作品に収縮している。ま、それが作者の狙いかもしれないが…。
山崎 雅人
評価:B
読み心地の悪い小説だ。つまらない訳ではない。文章が読みにくい訳でもない。では原因は何か。それは読んでいて不安になるからだと思う。期待する結末がないのだ。予想できないのとは違う。したくならないのだ。崩壊した精神の末路を、狂気のなれの果てを、想像したくはない。しかし、乙一はそれを平然と真顔で描いているに違いない。
生みの親と双子の妹から、死の一歩手前まで虐待を受ける姉。墜落する飛行機で安楽死の薬を値切る女。死の部屋に閉じこめられた姉妹。それぞれの話は、たくらみに満ちた筋書きと、血色の鮮やかな結末を有している。
そして前頭葉に悪夢を植えつけようとする。
こんな話を進んで読んでしまうのは、自らも破壊の快感を欲しているからにほかならない。さらには無意識に物語が時代の潮流に乗っていることを認めているのだ。読むほどに精神的ダメージが増幅する闇黒の短編集に、恐怖の原点が垣間見える気がする。