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アヒルと鴨のコインロッカー
【東京創元社】
伊坂幸太郎
定価 1,575円(税込)
2003/11
ISBN-4488017002
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
川合 泉
評価:A
読み終わった感想を一言でいうと、「作者にまんまと騙された」。一度読み通した後、読者が初めにすることは、おそらくもう一度作品を読み返すことだろう。私もご多分に漏れず、自分が騙された経緯を、読み終わった後すぐに辿っていた。
過去(二年前)と現在が交互に描き出される物語。琴美とブータン人のドルジを中心とした「二年前」の話と、冴えない大学生椎名が主人公の「現在」の話を繋ぐのは、河崎という一人の謎の青年だ。物語の筋はもちろんのこと、出てくるキャラも魅力的。特に、相当の美男子として描かれ、爽快なまでに世界中の女を自分のものにできるという自信を持った河崎にはかなり惹かれた(笑)。この著者の作品「重力ピエロ」も好きだったが、この小説は更に気に入った。これからも、伊坂幸太郎氏には要注目していきたい。
桑島 まさき
評価:B
法学部一年生の椎名が語る「現在」と琴美が語る「二年前」の物語が交互に進行し、やがて我々は「河崎」という男が双方に接点をもっていることに気づかされる。何故、「広辞苑」を盗むためだけに「河崎」は椎名を唆しモデルガン片手に本屋を襲撃したのか。首を傾げながらもその真相がぼんやりと浮かびあがってくる時、そう言えば伊坂幸太郎は「重力ピエロ」でも同じテーマを扱っていたことを思い出す。
構成の妙に唸らされる。うう〜ん、なんという小説上の詐術。が、我々の周囲には実にこの手の〈思い違い〉が氾濫していないか。最初に頭に刷り込まれた〈情報〉は特別な点を除けば、そう思い込んでしまうものだ。ヤラれた!
本作はスバラシイ愛と友情で結ばれた〈三人のある男女の物語〉が核となっている。適度に距離をとった希薄なようで、性差や国籍をこえた濃密な絆で結ばれた三人の…。しかし、ブータンの儀式のように「神様を閉じ込め」たって犯した罪を贖うことはできない。この世には確かに〈罪〉が多く存在するが、だからこそ〈赦す〉受け皿も必要なのだ。しみじみとそう思った。
古幡 瑞穂
評価:AA
現在と過去が交互に語られていきます。果たしてその二本の糸は交差しているのか、それとも一本の糸なのか?もしかしたら輪になっているのかも!こんな風に「今度はどうやって騙されるんだろう?」と考えるだけでゾクゾク。
そういう話であることは想像がつくのに、目の前では卑劣な犯人による動物虐待事件が起こっていたり、主人公が広辞苑強奪事件を起していたりするので、仕掛けに気を配る余裕がありません。ただただ手に汗握って、時には涙を浮かべたりしながらページをめくるだけ。なので今回も騙される喜びをたっぷり味わうことが出来ました。ラスト以上に大きな驚愕が待っていたのは再読時。トリックが明かされたときに新たに見えてくるものがあったのはさておき、感情移入して読み進むキャラが変わっているのです。いやはや、伊坂さんの小説を骨の髄まで味わい尽くすには何回読めば良いのでしょう?嬉しい悲鳴をあげています。
松井 ゆかり
評価:A
不意打ち。こんなオチが待っていたとは。伊坂幸太郎さんの本を読むのはこれが初めてなのだが、斬新な作風が評判だということは聞いていた。でも、ミステリーとしての意外性ももちろん驚きだけど、こんなに切ないストーリーだなんて予想してなかったもの。
何を行ってもネタバレになってしまうのかもしれないが、これくらいはいいでしょうか(「自分にはどんな手がかりも不要!」と思われる方は、念には念を入れてこの先はお読みにならないでくださいませ。全然オッケーだとは思うけど)。今年度ミステリー界のスマッシュヒットである歌野晶午著「葉桜の季節に君を想うということ」となんか似てるな、と思いながら読んでいたら、ある相似点あり。でも予感そのものは当たれど、着眼点は大外れ。みなさんにも気持ちよく引っかかっていただきたい。
複数の話が並行して進み、最後に全貌が明らかになる、という構成自体は最近あまり珍しくない気がするが、登場人物たちの感情がシンクロしたり、同じ台詞が別人の口から語られたりして、「いったい何が起こっているんだ!?」と興味がいや増す。人物描写や会話なども冴えていてお見事!
松田 美樹
評価:A
微妙に登場人物が重なる、現在と2年前の出来事が交互に書かれています。2年前の話が進むにつれて、何だか嫌な方に嫌な方にストーリーが流れて行くなあと、ちょっと暗い気持ち、というか恐いもの見たさのような気持ちにさせられていきました。ちょっとずつ話を進めて行くやり方がとっても上手くて、それでどうなるの!と先に進みたくなると、現在の話が挟まれて、何だか作者の思惑通りにまんまと踊らされました。伏線もきちっとしてるし、よーく考え抜かれたお話です。気になっていた「嫌な感じ」の結論も、後味スッキリな終わらせ方です。キャラクターもそれぞれに確立されていて、わかりやすいのもよかった。
三浦 英崇
評価:B
知らない街に初めて行く時の、目的地にたどり着くまでの時間って、妙に長く感じますよね。あれはやっぱり、未知の状態に対するとまどいによって生じる感覚なのでしょう。何が起こっているのか全く分からないまま、ストーリーをたどっていかなければならないタイプのミステリでも、同じようなことがあると思うんです。この作品が、まさにそれ。
現在と2年前の出来事が互い違いに語られていく中で、2年前の方は、まあまだしも何が起こっているのかが分かりやすいのですが、現在の方は、冒頭から突拍子もないことをもちかけられた語り手が、その行動の意図を探って試行錯誤するさまが、まさに初めての道をたどる不安を読者にも共有させるのです。ほんとに目的地にたどり着けるのかなあ、と。
現在と2年前が合流する地点、そこが目的地です。物語の終着点に到達した時、タイトルの意味がかちっ、とはまります。着いてよかったなあ、ここに、と思える作品。