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ロマンス小説の7日間
【角川文庫 】
三浦しをん
定価 620円(税込)
2003/11
ISBN-4043736010
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
池田 智恵
評価:B+
「健康である」というのは、おそらく男性が思う以上に女性にとって大切なことだ。そして、常に肉体的にも精神的にも健康でいるのは、そう簡単なことではない。三浦しをんの書くものが心地よいのだとしたら、それは、必ずしも健康ではいられない日常の中で、当然の権利のように健康であろうと努める健全さゆえなのだと思う。本書の主人公は、20代後半の翻訳家だ。いきなり会社を辞めてしまった彼氏に怒った彼女は、ついつい翻訳中のロマンス小説を我流に改造してしまう……。という物語そのものは別にそんなに面白くないのだけれど、全体を通した後に、気の合う友人と天気のよい日にじっくり話し合ったような気分になるのはそのためなのだろう。とりあえず、女性にとっては爽快な作品だと思う。男性にとってどうかはわからないが……。
延命 ゆり子
評価:A
ああ、面白い!エッセイだけじゃなくて小説もこんなに良いなんて……。その才能が恨めしい。主人公のあかりはハーレクイーンの翻訳家。五年も付き合ってきた神名が突然会社を辞めてしまう。無意識に彼に対して打算の感情を持っていた自分に自己嫌悪するあかり。飲み屋の女の子との関係も邪推し、神名との関係も気まずくなってゆく。あかりはその怒りを翻訳中のハーレクイーンにぶつけ、予定調和な騎士とお姫様の世界をぶち壊し、お姫様を自立した自己判断のできる女性に変貌させてゆく……。あかりと神谷はいまどきのカップルだ。結婚には興味がなく、他人と適度な距離がないと嫌なくせに、ひどくさみしがりや。でも基本的に自分に一番興味があることを知っている。なるようにしかならないといういわば刹那的な関係のなかでお互いを大切に思う気持ちだけで結びついている二人。言葉を尽くしても、二人の思い出をいくら作っても、その微妙な距離は最後まで縮まることはない。なんだか切ないのぅ……。が、そんな気持ちになりながらも、三浦しをんの真骨頂は遺憾なく発揮されています。神名が後ろにいるのにパソコンに「私は嫉妬の鬼である」と打ち込んでみたり、体毛(胸毛)について熱く語ってみたり。コアなしをんファンも大満足の仕上がり。「買い」です!
児玉 憲宗
評価:A
海外ロマンス小説を手がけている翻訳家が、私生活での相次ぐトラブルに影響を受け、あろうことかストーリーをどんどん創作しはじめる。この発想にまず脱帽である。柔道に例えると、投げ技で技ありを取られたうえに押さえ込まれた感じだ。 恋人は突然会社を辞めるし、友人に奪われそうになるし、揚句の果てに遠い旅で出かけると言うし。こんな状態で、甘っちょろいハッピーエンドの恋物語など訳していられようか。原稿締め切りまでの波乱に富んだ七日間。こうして小説も現実の世界もどんどん刺激的な展開へと向かっていく。まるで出足払い直後の内股のように、虚構と真実の連続技である。
デビュー作『格闘する者に○』を読んだときに感じた瑞々しさと躍動感はまったく衰えてはいない。持続するパワーは田村亮子並みだ。
鈴木 崇子
評価:B
翻訳小説と、その翻訳者自身の物語が交互に描かれているという構成が、新鮮。主人公のあかりは仕事で翻訳しているありきたりの海外ロマンス小説を揶揄しながら、身辺に起る小さな事件に心が揺れ動き、いらだちや不安から勝手に話を作り変えてしまったりする。改ざんされた小説の行方と現実の物語がからみあって…という展開。あかりと彼である神名の、飄々としてつかみどころもクセもないあっさりしたキャラクターはけっこう好きだ。生々しくて美しくもない日常を淡々と描いている現実の物語も悪くない。が、単独ではちょっと物足りない現実の物語に、(改ざんされてもなお)ベタベタのラブロマンスを挿し込むことで、両方の物語がさらに面白くなっているという仕掛けはすごい。限られた素材をうまく組み合わせて、メリハリのきいた話に仕上げているのは、アイディアの勝利だと思う。
高橋 美里
評価:A
海外ロマンス小説の翻訳で生計を立てている、あかりには神名というボーイフレンドがいて、目下半同棲中である。中世騎士風のロマンス小説の翻訳の依頼が舞い込んだあかりのもとには、神名の辞職というニュースもまいこんできた。いきなり仕事を辞めた神名と現実から遠く離れた小説。近くの「たんぽぽの汁」という居酒屋に行くと神名が仕事を辞めたがっていることを知っている人がいたりする。そんな現実と不可解な神名の行動に気持ちがイライラしたあかりはそのイライラを小説にぶつけはじめた。すると小説はどんどん原作を離れ独自の世界を描き始めた・・・。 出だしはいきなり翻訳小説なのですが、メインは現代の若者の恋愛小説です。ミステリなどでは結構使い古されている作中作というやつですが、まさか恋愛小説で出会えるとは思ってもみませんでした。どんどん走っていくロマンス小説は現実で走っていけないあかりの気持ちを面白いくらい反映しているし、暴走して翻訳している癖にその先がすごく気になるロマンス小説。リアルと物語の境界線にあるような一冊。あとがきも、
絶品。
中原 紀生
評価:C
歯の浮くような英国中世騎士道ロマンの翻訳を依頼されたあかりが、ボーイフレンドの神名とのドタバタ騒ぎに苛立って、勝手に作品を書きかえてしまう。やがて、フィクションとリアル、ロマンス小説と現実世界が渾然と一つになっていく。この趣向にはちょっと期待させられもした。あかりがリライトするロマンス小説の部分は、結構よくできている。でも、肝心のリアルの部分がちっとも面白くないし、翻案部分とうまく噛みあっていかない。こういうのをアイデア倒れという。──太宰治に「ろまん燈籠」という作品があるのを思い出した。正月の座興に、五人の兄弟姉妹が交代で五日かけて一つの物語(王子とラプンツェルのロマンス譚)を書き継ぐ。そこに子供たちの性格が露骨に反映していって、最後にちょっとした「感動」を誘うオチがつくという、愛すべき小品だった。
渡邊 智志
評価:C
7日間を7分割した章立てで日常と小説を交互に配置した割には、現実世界と虚構世界のリンクの度合いが薄いな…。不満です。もっともっとお互いに影響を及ぼしあって混じりあってもよかったんじゃないかな。毎日はロマンス小説のように甘くないし、小説は現実みたいにややっこしくない。そこにフラストレーションを感じて、翻訳作業を通じて両方の世界をぐいっと引き寄せてしまうのが主人公の役割(のはず)。なのに、ふたつのお話はバラバラのままでちっとも混じりあっている印象がない。無関係に見えちゃう。だから主人公がちょっとやけになって改作しちゃっても意外性がないし、主人公の告白だけではその暴挙が暴挙に思えないんです。この改訳が現実に極端に似ていたらびっくりできるのに…。結末も不満。ドンパチ(乱闘とかアクションとか、エンディングに相応しいシーン)が、主人公のカップルが危機的状況に追いこまれるわけではないので、肩透かしです。