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トリップ
【光文社】
角田光代
定価 1,680円(税込)
2004/2
ISBN-4334924255
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
川合 泉
評価:B
ある町に住む人々がお互いに微妙に交差しながら、各々の悩みに揺れつつ生きる10の物語。
どちらかといえば不幸せの方に人生のベクトルがふれているそれぞれの主人公。どの短編も、唐突に思える出だしの一文が、グッと読み手を引き寄せる。この短編集のすごさは、女子高生、プータローの青年、主婦等々、年齢も性別も様々な人達を主人公に据えていることだ。多くの作家さんは、自分の書きやすい年齢層や性別の主人公にどちらかというと偏りがちだが、この作品はどのタイプの主人公に対してもそのキャラにあった文章が繰り広げられ、違和感を全く感じなかった。
この物語のような日常は、私達の周りでも普通に起こっているかもしれません。思い浮かべて下さい。今日家の前ですれ違ったあの人、いつものスーパーで出会うあの人。もしかすると彼らは、小説のような、いやそれ以上の波乱や悩みを胸の内に抱えているのかもしれません。
桑島 まさき
評価:B
「道を踏み外す」ことがテーマの短篇集。世にいう「人の道」に沿った生活が社会通念上好ましいマトモな生活だとすれば、道から「外れた」人は“マトモな人”ではないのか? 程度の差こそあれ本作品集の主人公たちは道を外れた生活をしたいと思ったり、実際に外れて(?)いたりする。しかし、彼らの日常は我々のそれとあまり変わりはないし、「ズレ」ている彼らの目に映る人々も又、「ズレ」ているように感じてしまう。
表題作「トリップ」は、結婚前からLSDをやっていた夫婦の話。夫は既にやめたが妻である「私」はやめられない。結婚生活は続いているが破綻寸前。クスリに頼る「私」との生活を夫が後悔しているのではないかと瞳を探りあう毎日。父の死の苦い記憶と薬による幻覚に苛まれる主婦の張り詰めた日常が描かれるが、希望のもてる終わり方がイイ。
この終わり方は全作に共通している。楽しいとはいえないどこか倦怠感の漂う日常を、主人公たちは客観的に見つめ受け入れていく。そして、人生は続く…そう言い聞かせるかのように、折り合いをつけながら。
古幡 瑞穂
評価:B
一人一人の人生が糸になってより合わさることで、歴史の大きな流れが出来ている。どこかの本で読んだセリフです。町を構成している要素もそんな感じなのね…と思わされる作品でした。LSDでトリップするのを趣味にしている専業主婦とか、肉屋の若夫婦とか、普通なんだけどちょびっと普通じゃない人の毎日が綴られています。毎日からの逸脱を求める気持ちってのは誰にでもあるんだろうけど、ちょっとずれている人たちを主人公にして一人称で書いたことでこの欲望がよりくっきり見えてきているのです。上手いなぁ。
とはいっても、最後に大団円が用意されていて前向きな気持ちになることを想像して読み進めると裏切られます。少なくとも私は裏切られました。どっちかというと脱力系小説ですね。でもねぇ登場人物諸君、もう少し自分の力で現状を切り開く努力をしたほうが良いんじゃないですかねぇ?いくらなんでも倦みすぎだよ。
松井 ゆかり
評価:A
角田さんが「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞されたとき、私は「僕はかぐや姫」で同時受賞となった松村栄子さんにしか注目していなかった。自らの不明を恥じるばかりだ(でも、松村さんすごくよかったんだよなあ…。最近は執筆活動はしておられないのでしょうか)。
だらしなかったり、意地悪だったり、自分勝手だったり、しかしそういう欠点だらけの登場人物たちが限りなく愛おしい。各短編の主人公は年齢も性別も様々だが、角田さんはそれぞれの心情を鮮やかに描いてみせる。いちばん最後に掲載されている短編「サイガイホテル」のラスト、気がついたら涙していた。手痛く傷ついても、人間はまた立ち上がることができる。
松田 美樹
評価:B
世間一般の“ふつう”からズレた人たちを描いています。月9と呼ばれるテレビドラマとか、ハリウッド映画とかの「いかにも」な話や人たちと対極にあるのが、角田光代の世界。特に何が起こる訳ではありません。肉屋のコロッケやカキフライを毎日子連れで買いに来る主婦だとか、不倫相手の女性に子供が出来て結婚する男とか、確かにちょっとひねってはいるけど、周りにいそうな人たちが登場します。彼らは、他の人たちと同じように、人生での分かれ道があるたびにその一方をただ選んできただけなはず。なのに、気が付いたら周りからズレている。どこで間違えて、異世界に迷い込んできてしまったんでしょう? ちょっと道を選び損なっただけで、自分ですら帰り道の分からない場所へ行ってしまう、普通の生活に潜む危うさを感じました。
三浦 英崇
評価:C
温泉などに行くと、よくトリックアートってありますよね。平面に描いてあるのにあたかも立体であるかのように見える絵。日常に溶け込んで、一見、ごく普通だけれども、よく見てみると、どこかおかしい。ちょっとした違和感が、喉に刺さった魚の小骨のように残る。この作品集は、そんなトリックアートを観た後のような印象を与えます。
スーパーで買い物を済ませる人々。何も起こらなければ、何も印象を残さず、見てから5分もしないうちに忘れてしまいそうな人達。そんな人の群れの中に、何故か時折、印象に残ってしまう「トリックアート」が潜んでいるのです。
彼らは家の外から決して見えない場所で、例えばクスリが生み出す異様な感覚に支配されていたり、あるいは、母の新しい恋人がお金を持って逃亡し、現実に疲れ果てたりしています。しかし、そんな異様な状況が、外に出てくることは滅多にない。トリックアートが決して三次元の物ではないように。かい間見てしまった絵柄にどきっ、とするような読後感でした。