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├2001年7月
├2001年6月
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夜のピクニック
【 新潮社】
恩田陸
定価 1,680円(税込)
2004/7
ISBN-4103971053
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
朝山 実
評価:B
一昼夜、歩き通すのが伝統行事になっている、ある高校の話。千人を超える生徒が、山道や海岸縁をただ歩いていく。見下ろせば、きっと蟻の行列だ。誰が誰だかわからない。でも、タカコもトオルもその他のコも全員この世には一人きり。って、ことが分かってくる長くて一瞬の物語と言い換えてもいいかもしれない。
歩くだけだから、暇である。だもので、いつもなら話さないことを話したりする。「去年、そういえば知らない子が一人混じっていたじゃない」なんて盛り上がる。誰も知らない。でも、写真に居たコ。誰からも思い出してもらえないコ。どっちが淋しいのか、なんてつい脇道に逸れたりするのは作者のツボにハマッタことになるのか。進行するたった一日を事細かに描きながら、終わっていくことを辿りなおしているノスタルジックさが好いです。
安藤 梢
評価:B
全校生徒で夜を徹して歩き続ける行事、「歩行祭」。聞いただけでうんざりするような行事だが、それがなかなかにいいものなのだ。自分の学校にこんな行事があったら、確かに一生忘れないだろう。ただ歩くというだけの単調になってしまいそうな物語を、疲労の波や時間帯に応じた会話の選択によってゴールまで引っ張っている。休憩や食事の後、そして日が沈んだ後でテンションが上がるところなど、思わず「分かる分かる」と頷いてしまう。疲れて惰性で会話しているところもリアルでおかしい。
異母兄弟との和解という少々重いテーマを抱えながらも暗くならないのは、爽やかな友情と高校生らしい他愛もない会話があるからだろう。昼は誰かの噂話、夜は深刻な打ち明け話と、なにしろ時間も話題もたくさんあるのだ。そういう特別な時間を共有している人たち特有の親密な空気に、何だか懐かしいような眩しいような気持ちにさせられる一冊である。
磯部 智子
評価:B+
確かに読んでいる間は、一緒に歩いていた。甲田貴子や西脇融や北校の皆と。大したものだと思った。高校生が夜を徹して80kmただただ一緒に歩くだけという「歩行祭」のお話なのに。アメリカ生活の長い杏奈の弟がいう「日本的な集団主義、精神主義」だと思ったから、勘弁してほしいと思って読み始めたのに。学校や教師達の思惑は、その程度のものだったかもしれないし、でもそんな与えられた環境など一切合財飲み込んで、勝手に多くのものを得て、新しい価値を生み出し意味を持たせてしまった高校生活最後の秋。限られた空間と時間、受験前の閉塞感は夜の闇の中で解き放たれ其々の思いが交差する。登場人物一人一人の息吹が感じられ、会った事もないのに懐かしさがこみ上げる。でも読み終えた後、心の何処かで警鐘が鳴る。違う、迷ってばかりの10代、そんな爽やかじゃなかった。第一、無茶苦茶じゃないかそんな距離、絶対反発していた。青春の幻、一時の良い夢を見せて貰った、そんな気がする。
小嶋 新一
評価:A
今から考えてみたらそんなに大したイベントだったとは思えないけど、なぜか鮮烈な記憶として残っていて、忘れられない―――中学・高校時代のいろいろな想い出っていうのは、不思議なものだとつくづく思う。文化祭の準備の日に友達と学校を抜け出して、近くの若草山に登ったなあ、とか。高校の修学旅行で、東北へ向け日本海沿岸を走る夜行列車の窓から見えた、海岸に落ちる月の光が、いまだに眼の前によみがえってきたり、とか。
「夜のピクニック」を読みながら思い出していたのは、自分自身のそんな想い出だった。高校の年に一度の行事として行なわれる、ただただ夜を徹して歩き続けるという、それだけのイベント。だけれども、高校3年生の登場人物たちにとっては、その中に熱いドラマがあり、十数年分の人生の結晶が詰まっており、今この瞬間だからこそ感じる想いがある。
一晩歩き続けるだけの行事を素材にしながらも、これだけ広がりがあり、ぐいぐい読ませる青春世界が構築できるのは、ひとえに作者の力量なんでしょう。「こころあたたまる青春小説」と言うと、なんだか月並みでいやなんだけど、ホントにそうなんで、皆さん、ぜひ手に取ってください。
三枝 貴代
評価:C
マラソン、遠泳、登山、オリエンテーリング……。どこの高校にも、運動神経よりも体力と根性を試す体育大会があって、その時生まれる独特の仲間意識は、誰にとっても高校時代の大切な思い出になっているはずです。この物語の高校では、丸一日をかけた遠距離歩行が行われます。夜間もわずかな仮眠をはさんで歩き続けるために、その高揚感、重くだるい脚の疲れと痛み、頭の中をぐるぐる回る思春期独特の思考など、かなり異様な感覚になるでしょう。こういった物を書かせたらこの作家さん以上に巧い人は、ちょっとほかにはいませんね。実によく書かれています。
ただ、あんまりにさわやかすぎて……。
恩田さんが情景描写が下手だった頃には、それがむしろ幻想的な雰囲気を作って、嘘っぽさとバランスがとれていたように思うのです。しかし最近は表現にリアリティがでてきてしまったがゆえに、いくらなんでもそんな綺麗なお話にはならないんじゃないの?と、つい思ってしまって……。
すみません。恩田さんが悪いのではありません。わたしが汚れてしまったのです。
寺岡 理帆
評価:AA
やってくれました、恩田陸。こういうの、弱いんだよねえ…。少年時代を生き生きと描かれると、無条件に心に沁みる。
夜、みんなで歩く。それだけのことが、彼らにとってはものすごい意味を持つ。そういう共有感、一体感って、あの頃、確かにあったよなあ、と思う。
ちょっとスーパー高校生が多すぎる気がしないでもないけど(笑)、それでもそんなことはあまり気にならない。なぜなら、読者であるわたしも一緒に、高校生になって歩行祭に参加しているからだ。
大切な宝物のように、胸のずっとずっと奥深くにしまっている思い。そんな宝箱を開ける物語には、失敗は許されない(笑)。この作品は、本当に自然に、そんな宝箱を開いて見せてくれたみたいだ。
福山 亜希
評価:A
主人公は高校3年の融と貴子の2人。2人は実は異母兄弟なのだが、その複雑な家庭環境のために、お互い無視しあうという形でしかこれまで接することが出来なかった。しかし偶然にも同じ高校に入学することで、そんな関係に微妙な変化が生じてくる。
卒業前の最後の行事である「歩行祭」がこの物語の舞台だ。歩行祭とは、80キロの長距離を完走することを目的に、一昼夜かけてただひたすら歩き続ける行事なのだが、私はまず、この行事をもの凄く気に入ってしまった。それに、物語の中での貴子や融が友人達と交わす会話のみずみずしさや若々しさに、自分の高校時代が次々と思い起こされていくのが何とも楽しかった。体操着の匂いや、体育館の冷たい床の感触といった、学生時代の記憶の断片が、物語の至るところから漂ってくる。物語は最後まで優しい雰囲気に包まれたまま、ほほえましいラストを迎える。
この本を読んでいる間は高校生に戻れてしまうから、昔の思い出に浸りたい時にお勧めの一冊だ。