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介護入門
【 文藝春秋 】
モブ・ノリオ
定価 1,050円(税込)
2004/8
ISBN-4163234608
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
朝山 実
評価:B
まだエンターテイメント作家だった頃のH・M氏が語っていた。読者に受け入れられるためには小説家も鍛錬が必須だと。彼が技法の一つに挙げていたのが5行に1回のマメな改行の励行。後に芥川賞作家となったときの作品では前言を翻し頁が真っ黒だったけど。モブさんのこの作品も正直に申せば読むのが辛い。改行なしの文章が幾頁も続くんだもの。それを仕事にしながら、気持ちのこもっていな介護ビジネスの輩に「俺」の憤懣は連射される。会話もなきゃシーンの描写もない。独白のみの小説だ。ついて来れるものならついて来いってもんだ。
が、見える瞬間がある。この「俺」は本当にあの弾ける罵倒の独白の何十分の一でもひどいヤツらコイツらの面に浴びせることがあったんだろうか。呆けた「おばあちゃん」が大事にしてきた茶器を、簡単に壊してしまう連中のうかつさ杜撰さにあきれ返るのは「俺」ばかりでない。怒りを共有することができるかどうかで、読後感は鮮明に分かれるだろう。
安藤 梢
評価:C
なんなんだこれは!? 英語もロックも一緒くたになって、文法などお構いなし。読もうというこちらの気を端から挫くような文章である。だが、何かが引っかかるのである。とにかく文字から湯気が出そうなほどの熱い想いのエネルギーだけは伝わってくる。故に読みにくい、ということだろうか。言いたいことだけを思いっきり絶叫しているようなかんじだ。ただ、言いたいことはよく分かる。ばあちゃん「長生きしてや」。
今どきの若者がおばあちゃんの介護を当たり前のようにしていること自体、普通に書けばどこか押付けがましいいい話となってしまう。そこを単なるいい話としてまとめるのではなく、介護をしたことのない人にももっとリアルに感じて欲しいと強く主張しているのがこの本なのである。今の日本で、介護ベッドのありがたみを知る若者はどれくらいいるだろうか。
磯部 智子
評価:C
で、出た!介護小説。事実の重みと真っ当さを、ラップ調(?)で自ら語る息継ぎのないような長文で押し切った作品。でも読みにくい。親の会社を辞め風土に首までどっぷり浸かった人生を切り捨て、アメリカに旅立ったはずの奈良の旧家のボンが、寝たきりになったおばあちゃんの介護に舞い戻る。「俺」は大麻常用、金髪で完全武装、ラリッた頭で害虫相手に言葉の毒を撒き散らす。実母のオムツを一度も替えた事がない傍観者のままお見舞い気分の叔母、介護保険導入と共に雪崩れ込んできたお座なり仕事の介護士達。愛があったら介護は出来る?いや、そんなもんじゃない。夜中に2回はオムツを換える。抱き上げる度、腰に走る鈍痛。来る日も来る日も毎日続く。積もる過労、それでもおばあちゃん子だった俺が、話しかけて笑わせて、時には失言悲しませて。30男のアイデンティティは「青い鳥」よろしくおばあちゃんの布団の中にあった。次作に期待。ぜひ違った表現で。
小嶋 新一
評価:C
芥川賞受賞の超話題作だからと、気軽に手にとったものの、書かれている日本語のリズムが普通に読み書きするリズムと違っており、読んでいてちっとも波に乗れない。困り果ててカミさんに話したら、「ラップ調で書いてるらしいで」とのこと。で、改めてそんな調子で声に出して読んでみると、急に一気に読み切れてしまった。
テーマは老人介護。いずれ父母の面倒を見ないといけない僕は、いざという時はたしてモブ・ノリオ氏が祖母に対してそうしたように、敢然とすべてを投げ打って「介護」へ邁進できるだろうか?その時、家族の食い扶持は誰が稼いでくるの?と、重くて大きい課題が突きつけられた。さあ、どうしたものやら。そうなったら、その時にでも考えるか……。
テーマに反して、ユーモラスなラップ調の語り口ゆえ、読後に残る感じは、からりと乾いた爽やかなもの。とは言え、こうした実験的手法は、僕にはいまいち馴染めなかったかな。少し、残念。
三枝 貴代
評価:C
寝たきり祖母の介護をするミュージシャン崩れの金髪大麻中毒フリーターが、介護の心得について「朋輩」に語る中編。第131回芥川賞受賞作。
意外と(失礼)言葉を知っているというか、語彙は豊富。冗長に思える語句や不自然な言い回しも文章全体のリズムにのってしまえば必要で適切。すいすい読めます。巧い。
でも、ごめん。わたし、ラップ嫌いなんです(この小説はラップですね。どう考えても)。多くのラップが、語るのに一所懸命になりすぎて転調や破調を忘れ、ぬぺっと平たいリズムになってしまうからです。この小説も同じ。語りのリズムが一定なので、この長さは正直きつい。飽きてしまいます。短編だったら良かったんですが。
内容に関しましては、宜しいのではないでしょうか。巷間ほめられている部分は、金髪や大麻やニガーといった言葉などと老人介護とのミスマッチらしいのですが、とくに違和感はありません。誰だって、大切な人が寝たきりになれば世話をするものでしょ?
寺岡 理帆
評価:C
「ラップ調の文体」というのが斬新だ、という話をあちこちで聞いていたんだけれど…これって、ラップ調?文章にあるとあちこちで言われている「リズム感」が、わたしにはまったく感じられなかった。非常にマジメな介護に関する考察がだらだらとラップ調(?)の文体で述べられている、それがこの作品。それ以外のことはひとつも書いていない。
ずっと「朋輩(ニガー)」と、読者に語りかけるような形で綴られているのだけれど、その文章に反して、この作品はすごく閉じている気がする。「俺はこうだ」ということは語られるけれど、だからどうだ、ということは何一つ語られない。読者は本を閉じてもそこから何かを発展させていくことができない。
ちょっと風変わりな個人的な手記。まさに作者もそのつもりでこの作品を書いたようだけれど。
福山 亜希
評価:A
激しく攻撃的な文体で、始終自分の心の内を吐露している。客観的な視点は最初から最後まで全く現れない。それは、読む者に分かりやすい文章とは決していえないけれど、訴えたいことをダイレクトに表現するその文章からは、真面目さとか純粋さがあふれているように感じた。作者の態度からは、読者を感動させようだとか、楽しませようだとかといったような、小説家らしい欲は感じられない。作者は作品をロマンティックに演出するといった普通の小説家がすることをしないかわりに、自分の内面へと深く深く沈んで、自分自身と対峙することで作品を完成させているのだろう。
読み始めはこの独特な文体に戸惑うが、読み進めていくうちには作者の主張の確かさと、その正当性に気がつかされる。はたと立ち止まって、自分の胸に手を当てて、これまでの自分の生き方に嘘や偽りはなかったか、問い詰められるような気持ちになってしまった。