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├2001年7月
├2001年6月
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人のセックスを笑うな
【河出書房新社】
山崎ナオコーラ
定価 1,050円(税込)
2004/11
ISBN-4309016847
朝山 実
評価:A
化粧っけがない女だけど、ヒジやカカトに触れられるのは嫌がる。主人公の男の子は、付き合っている彼女がヒジやカカトに丹念にニベアを塗るのを眺めている。そんな描写に、よく見ているなあ、とうなってしまった。
彼女は既婚者で、もうじき40歳。彼との年の差は二十。シチュエーションは禁断のラブロマンスふう。でも話は淡々。どんなタイプかっていうとトシには見えない黒木瞳みたいな、って、それはウソ。トシ相応の女。天然っていうか、主人公が絵のモデルになったときに「たくあん」をお礼にくれたりする。たくわんなの?というところが、彼は「かわいい」と思ってしまったきっかけらしい。それがまた彼を物語ってもいる。起承はあるけど、転も結も曖昧。そこがこの小説のよさか。カッコよくなりたいと思い続けてきたけど、なれそうにもない。フツーに二十歳を迎えちゃった男の子のだるさ、やるせなさが絵が浮かんでくるくらいよく描かれている。
安藤 梢
評価:B
20歳も年上の女性をユリちゃんと呼び、かわいいと言えてしまうのだから恋の力は凄い。そんな内面とは裏腹に、端から見るとそれほど熱をあげているようには見えないのだから、分からない。恋愛とはごくごく個人的なものなので、簡単には他人に分かるものではない。だからこそそれを見て「笑うな」ということなのだろう。他人が見れば「既婚の先生が若い生徒と恋の火遊びをしている」と思われるようなことも、当の本人たちにとっては大真面目なのだ。大真面目だからこそ、笑えるし、だからこそ真実がぎっしりとつまっているのだと教えてくれている気がする。ユリちゃんの奔放な性格もかなり魅力的だが、それにも増してユリちゃんのダンナの猪熊さんがまた一枚上をいくキャラクターでいい。ほんの少ししか登場しないのだが、穏やかで妻の恋人さえ受け入れてしまうその包容力は印象的だ。希望が持てるラストもよい。
磯部 智子
評価:A
意外に、といったら失礼だがナカナカ良いのだこの作品。だってこのタイトルで、このペンネーム、過剰に尖がった自分語りではないかと心配して読み始める。それなのにこの雰囲気、とても心地よい空間が広がっていく。隣家のダンナにも、年下の男にも、韓流スターにもときめかないアンチ恋愛体質の私の乾いた心にさえ、39歳のユリが19歳のオレに惹かれた訳が、そのお互いの気持ちのせつなさが押し寄せてくる。若い作家のデビュー作なので、このみずみずしくて痛い作品が、散々デッサンしたその結果ムダなく美しいシンプルな線として完成したのか、それともたまたま描いた一筆書きの出来が良かったのかは判断できない。このタイトルだってハッタリで、内容の意外性をより効果的にする簡単なトリックにみすみすはめられてしまったのかもしれない。でも、そうであっても無くても一切合財含めて結果よければ全てよし。次回作にも期待、山崎ナオコーラ…さん。
小嶋 新一
評価:B
美術の専門学校に通うオレと、先生のユリは、19歳と39歳のカップル。フラリ、と恋人同士になり、気持ちのおもむくままにセックスをする。その付き合い方の自然体さが、徹底的に気持ちいい。
誰しもいろんな雑事やしがらみにとらわれ、人間関係に振り回されるのが日常でしょ?だからこそ、この二人のように、何かにせっつかれたり焦ったり怒ったりすることから自由になれたらいいなあ、とつくづく思ってしまった。
ストーリーという点では、ホント何という事のない話。だけど、なにか胸につき刺さってくるものがある。それは、作者が持つ研ぎ澄まされた感覚と、透明感のある描写によってるんだろうなあ。淡々とした中から、情感と切なさがわきあがってくる、不思議な一冊。
三枝 貴代
評価:C
見せたり話したりするから笑われるのだ。――とまれ。
十九才のオレは二十才年上の講師・ユリに愛を告白される。愛されているはずだったのに、彼女は――。第41回文藝賞受賞作。
読点、多いですね。改行も多い。ここまで入れなくてはならないほど文章が下手ではないので、もっとぐっと減らして詰めたら、心のゆれを書き込んでも制限枚数内におさまっただろうと思えます。しかし、ディテイルががこっと抜け落ちているおかげで、女というものの謎がうまく描かれたようにも。また一方で、年上の女に対する主人公のあまりの屈託のなさには、まるで彼には母親がいないかのようで嘘っぽくもあります。
つまり良い要素と悪い要素が、ごっちゃまぜ。もう1作読ませていただかないと真価のわからない作家さんですね。
しかし……普通この内容なら、できあがるものはミステリだよなあ……。彼女はなぜ彼に愛を告白し、またなぜ彼から去ったのか。主人公、少しは疑問に思ったらどうでしょうか。
寺岡 理帆
評価:B
ストーリーはきわめて単純明快。改行が多くて、一文が短くて、会話が多くて、しかも行間が空いているので、開いた印象はとにかく「スカスカ」。1時間もあれば余裕で読めてしまう。特別大事件が起こるわけでもない。けれど読後感は爽やか。
なんていうか、本当に小説には「センス」ってあるんだろうなあ、と思った。物語を進めていく上ではまったく不必要なセンテンスに、ドキッとしたりする。小説を書く作業って言葉の取捨選択をいかにしていくかということだと思うんだけれど、この作品には必要でない言葉、必要だけれど省かれている言葉がたくさんあるように思う。必要な言葉を省いたり、敢えて必要でない言葉を入れることによって作品の印象はどんどん変化していく。その選択は、経験とか、修行とか、そういうことによってではなく、センスによって決まるのかもしれない。
山崎ナオコーラには、そのセンスが、確かにある気がする。
福山 亜希
評価:B
凄い題名。こんな凄い題名の本は、カバーなしでは外で読めない。だからひっそりと、家の中だけで読了した。読み切るのに時間はかからず、あっという間にストーリーが頭の中を通り抜けたような、そんな楽しさがあった。だが、読み終えた感想としては、題名が強すぎて、それに内容が負けてしまったような印象である。20歳も年上の女性への恋、しかも、教師と生徒の間の禁断の恋を描いているが、文章には清潔感があって毒々しさはないし、題名に感じられるような強い主張とか、作者の強烈な個性の匂いは漂ってこなかった。現代的でナイーブな主人公の登場に、少し拍子抜けもしてしまった。
「人のセックスを笑うな」というタイトルだけを最初に与えて、このタイトルから連想して小説を書くという宿題を世の中の色々な作家に依頼したら、古今東西、面白い話が沢山生まれる気がする。題名に似合った、革命的で破天荒な物語を求めたい。