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半島を出よ(上下)
【幻冬舎】
村上龍
定価 上 1,890円/下 1,995円(税込)
2005/3
ISBN-434400759X
ISBN-4344007603
磯部 智子
評価:B+
福岡ドームが出来る前だが暫く福岡で暮らしたことがある。100万都市であると同時に本州のメディアとは切り離された部分があり、反面なんとこの地は大陸の方に近いことかと驚異を感じた。この作品ではその不安が現実となり北朝鮮が福岡を武力占拠し日本から独立させてしまう。上下巻900頁あまりのこれまた超長編だが全ての頁が作家からの問題提起で埋め尽くされている。2011年、現代日本が内包する問題はこのとき全て結果となって現れた。経済破綻によるインフレ、国際的孤立の中、相も変わらず平和ボケした「危険という概念」を知らない日本人を北朝鮮のコマンドの視点から描き、同時に日本人からみた「命令と服従と哀願」の北朝鮮人を描く。この対立する視点は、無力で福岡を事実上見殺しにした中央と地方の温度差による亀裂や、失敗したら粛清される人間とこの事態を優雅な食卓の話題にのせる人間、さらに奇妙な詩人の許にいる社会からはみ出した少年たちの姿を通して描かれる。最終的には強引ともいえる結末で作家は選ぶとはどういうことかを指し示し、複数の伏線が未消化のまま今そこにある危機だけを鮮明に残していった。
三枝 貴代
評価:B
野蛮、である。
近未来小説と銘打たれたこの小説は、年号に伏せ字が採用されない。一番最近の日付は、実に2007年春である。近も近、わずか2年後。普通の作家ならば、自分が手間暇かけて書き上げた作品の寿命をできるだけ伸ばそうと、そんなおそろしい日付は採用しない。その迫力だけで、龍先生に頭を下げてしまいそうになる。
上巻、突っ込みどころはいくらでもある。戦争でも亡命でもなく発生した大量のホームレスがある社会で、少なくとも家賃のインフレだけは起こらないだろう、だとか。預金を凍結するより消費税をもっと上げる方が先だろう、だとか。しかし作家の、日本人は平和ぼけだ、この平和がいつまでも続くはずがないという、怨念にも近い主張が、ごうごうとした風圧をもって吹き寄せてくるのだけはしっかりと感じられる。この迫力には誰もが圧倒されるほかないはずだ。さらに、政治批評が主な上巻から一転、下巻は暴力に満ちあふれたエンタテインメントとして非常に面白く読ませてくれる。タイムリーなテーマといい、ベストセラーになるのももっともだろう。
村上龍、あいかわらず利口なのか馬鹿なのかわからないお人だが、乱暴で度胸があることだけは確かである。
寺岡 理帆
評価:B
読み始めて、背筋がぞぞ〜っとした。そのさもあり得そうな近未来の情景に。そのとき、わたしだったらどんな生活をしているのかと。そして、ゾクゾクしながら読み進めた。北朝鮮の秘密の計画。マイノリティとして育った子供たち。経験したことのない事態に対応しきれない政治家たち。緻密でこれでもかというくらい書き込まれた、いつこうなってもおかしくないような日本の状況や、反乱軍として日本にやってくる北朝鮮の兵士たち、いきなり支配下におかれた福岡の人たちの心境などなど、とにかく読みどころは満載で一読の価値がある。上下巻の長さをモノともしないリーダビリティもしっかりと持っている。
ただラストは、え、こんなんでいいの?と少し拍子抜け。いや、このくらいしかラストはまとめられないか。それから、ありありと立ち上がってくる登場人物たちが単にストーリーの展開上必要なキャラクターとしてしか存在せずに、その後どうなったかもわからないままうち捨てられているのもちょっと寂しかった。
福山 亜希
評価:A
フィクションだからと軽くみることは難しい。描かれていることは本当に起りそうなことばかりなのだ。 北朝鮮の反乱軍と称した兵士達が漁船に扮して福岡に潜入する。彼らはあっという間に福岡ドームの観戦者たちを人質に取り、あっという間に九州全体を人質にとってしまう。そして巧みな戦術で九州を封鎖させて、一つの独立国家の建立を企てるのだ。
殺人マシーンとして訓練されてきた彼ら兵士に、人間らしさはない。彼らはお互いを仲間として接することも出来ず、そのため仲間同士の会話を楽しむ事も出来ない。でも同じ人間らしさの欠如は、被害を受ける日本の方にもあるのだ。日本人は、自分が危機に面しても、その危機を危機として理解することができない。銃を突きつけられても、本来あるはずの人間らしい抵抗や恐怖を表現できないのである。無抵抗の人間や、へらへら笑う人間さえいるのだ。そんな中で、危機を危機として捉えることのできる者も一部いた。そういう者達はどんな者なのか?日本の運命はどうなるのか?手に汗を握りながら物語は展開していく。漠然とした不安から目を背けず、不安の原因の根本を直視してそれを乗り越えていく勇敢な者達の出現は、私たちひとりひとりの心の中にも求められていると思った。