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どんがらがん
【河出書房新社】
アヴラム・デイヴィッドスン (著)
定価1995円(税込)
ISBN-4309621872
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
清水 裕美子
評価:★★★★
頭のいい人と話すといいように笑わせられてしまう。そして中には理解不能な笑いもある。どこが面白かったのかよく分からずウロウロ。
アヴラム・デイヴィッドスンは強烈に頭のいい人なんだろう。その彼の変な小説の宝箱・傑作選。笑いだけじゃない、どんより感も「あの、今のよく分からなかったんですが」と言えない感じもタップリ。チッカチッカと気分をスイッチさせられてしまう。もっと早く知りたかった!
例えば毒のさじ加減が絶妙な『眺めのいい静かな部屋』。養老院で過ごす老人達の日常生活が綴られる。誰かが過去の活躍話を始めるとそれを遮ったり、夕食の話で一斉に興味が食べ物に移ったり。ユーモラスな老人達の会話にちょっと笑いながら読み進めると……事件発生! そして! 何やこのオチ! そのセリフを使いたかっただけ? どうしてくれよう、一体。
文章がとても読みやすい。きっとデイヴィッドスン好きの訳者達が腕をふるって訳してくれたのだと思う。お礼が言いたくなるような一冊。
読後感:賢くないことを痛感。偏愛仲間に参加することで降参します。
島田 美里
評価:★★★★
16篇が収録されているけれど、底抜けに明るい作品はなかった。それは、決してつまらなかったという意味ではない。奴隷売買や養老院、親の愛に飢えた子どもといった題材に、嫌でもせつなさを感じてしまう。
表題作もまた同じだ。巨大な山鉾である「どんがらがん」には、民衆を威嚇して食料を巻き上げることができるほど、攻撃力のある大砲が装備されている。発進させるときの、どんがらがーん!というとぼけた掛け声は子どもならきっとマネしたくなるだろう。すっかり脳天気な話かと思ったら、その山鉾を動かす集団の小汚い風貌が、悲しい気分を連れてきた。
この作品には、著名な文学賞での受賞作も含まれている。ところが解説によると、商業的なものから書きたいものへ方向転換してから、「売れない通好み」の作家になったそうだ。「ナイルの水源」に出てくる、未来の流行を予言できるという一家に振り回される作家と、著者のイメージが何となく重なった。著者の作品には、思い通りにならない世の中が前提にある気がする。一篇読むごとに人生の悲哀が、どんがらがーん!と押し寄せてくるようだ。
松本 かおり
評価:★★
頭のなかが、キイキイ軋んでキツいのなんの。製造後40余年を経た我が脳内回路は、ショート寸前。この作家、コワレてるんじゃないか、イッちゃってるんじゃないか、と心配になるほど不可解な短編の連続だ。唯一納得できたのは、「物は証言できない」だけ。皮肉な自滅的結末に、ニヤリンコ。こんな系統ばかりならよかったのだが……。
なんせ、ほとんどの作品が、オチも結論もなければ締めくくりもない。筋は突拍子もない飛躍を繰り返し、登場人物たちは極端から極端に走り回る。意味不明のなんじゃこれ状態続発。編者の殊能氏は、あとがきで「よくわからなくても、無気味な展開とカーニヴァル趣味を楽しめばいい」と仰っている。しかし、わからないものを楽しめ、と言われても……。ついつい理路整然やら辻褄やら、粋な結末を求めてしまう私、ひたすら難渋、ドンガメ読書。「変な小説」を痛感させられて疲労困憊。
佐久間 素子
評価:★★★
現代文学のジャンルを越えて、「すこし不思議な物語」の名作を集成したというシリーズの趣旨にぴったり合致した一冊。おはなしずきには応えられませんね。そりゃ奇想が最大の特徴には違いないのだけれど、マイノリティのコンプレックスとおぼしきものが常に漂っているのも本書の個性であるように思う。ひねくれたような暗さも、不器用な優しさも、同じ根っこから出たものだから、無理なく共存している。個人的には、もっとドライな作風が好みとみえて、お気に入りはアイディア勝負の「さもなくば海は牡蠣でいっぱいに」あたりなのだけれど。探すと絶対にみつからない安全ピンと、すぐにいっぱいになってしまうハンガー。誰しもが覚えのある日常の不思議を、こう解釈しますか!と呆れる。それなのに、ばかばかしいなあと、一笑にふせない妙な説得力で、わけなく圧倒されてしまったり。そして、滑稽と哀しさは紙一重なのだなあと、何だかしみじみ。
新冨 麻衣子
評価:★★★★★
わけわかんないぞ、この作家。この世のあらゆる小説をぐるぐるかき回して適当な網でこしたものが、この著者の頭の中に乱雑に詰め込まれてるとしか思えない。実際わたしもついていけない話は飛ばし飛ばし読んだ手前、万人には勧められない。でもね、面白い。
とりあえず万人に勧められる人情的な話は「パシャルーニー大尉」。父親の幻想にすがる少年に素敵な一日を過ごさせるパシャルーニー。ルパン三世的あしながおじさんってかんじ。「物は証言できない」もいい。奴隷は物であると常日頃から言い張る奴隷商人が鮮やかに窮地に陥る。スカッとします。また養老院でのひとつの罪なき嘘が引き起こした小さな悲劇「眺めのいい静かな部屋」もさらっと描かれているわりに、深く、印象的だ。これは養老院という閉鎖性が産み落とした小さくも残酷な戦争だ。背筋が寒くなる。
というわけでニヤリとしたりゾゾッとしたり何ともいえない気味悪さに包まれる、そんな短編集。意外にエンタメ性高いですよ。