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ワイルド・ソウル(上下)
【幻冬舎文庫】
垣根涼介 (著)
定価720円(税込)
ISBN-4344407660
ISBN-4344407679
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久々湊 恵美
評価:★★★★
移民問題に関して全く無知だった自分が恥ずかしい。
読みながら、ここに書かれている移民問題が、架空の話だったら…と何度も思いました。
そのくらい、過去に日本が、政府が行ってきた移民政策はひどいものでした。
実際にブラジルに移り住んだ人たちの苦しく悲惨な生活を、通りいっぺんに外側から描写するだけではなく、どれだけの怒りを政府に抱いたのか、生きるためにはどれだけの道のりをたどってきたのか、という内側を描くことによって非常にせまるものとなっていました。
ただ、最初の切り口からかなり移民問題に関して心を動かされていたので、後半になるにつれストーリーがハードボイルドに変わっていったのには、ちょっと肩透かし食らわされた、といった感じではありました。
どうも、男性が好みそうなタイプの女性が登場したり、話の展開になったり、になってしまった感があってそこがちょっと残念。
松井 ゆかり
評価:★
★
★
★
エンターテインメントならエンターテインメント、シリアスならシリアス、とはっきりしている読み物の方が本来は好きなのだが、この小説はすごいと思った。
ケイ、松尾、山本の3人が仕掛けた政府への復讐の裏には、胸が塞がれるような戦後の愚政である棄民政策が存在した。この本を読むまでこのような事実があったことさえ知らなかったが、読了後しばらくして見たニュースで“この時代の移民に対する補償は遅々として進んでいない”と報じられていた。まだ過去のことではないのだ。
3人にとっても、自分や親たちが受けた傷は生々しく忘却の彼方に押しやれるものではなかった。計画の手口は鮮やかで爽快感さえ伴うが、彼らの心中を思うと痛みは残る。ラスト、彼らの辿る運命はなるべくしてなった結末という感じで、苦いながらもハッピーエンドと言えるのかもしれない。
島村 真理
評価:★★★★★
やってくれました。一気に読みました。
「棄民政策」という、戦後すぐの日本政府が出した愚かな政策のため、ブラジルへと新天地を求めた日本人たちの前にひろがるのは楽園ではなかった。過酷で悲惨な状況。四十年後、日本政府に復讐をくわだて、綿密に計画を練るケイ、松尾、山本。こみ上げる思いとはうらはらな冷静で完璧に見える計画。そのゆくえに息を呑む。
知らないということが多くて愕然としました。もちろんストーリーは垣根氏のフィクションではあるけれど、歴史的事実はあるのです。「事を荒立てない」日本人の体質が悪く作動した結果は想像を絶します。そういった下敷きはなくてもこの本は面白いと思いますけど。仕掛けあり、恋愛ありと多彩なのです。自分と両親の思いを含んで日本政府に復讐を果たそうとするところは痛快です。
ブラジル人の楽天的な陽気さとセクシーさふりまくケイ、宝石屋でありながら裏ビジネスを持つ松尾の陰、唯一当事者であった山本の心地よくなるほどの周到さ。登場人物それぞれの魅力といったら!その割には彼らの計画に巻き込まれるテレビ局のディレクター貴子のヒステリックなさまは興ざめでした。もっと女性もていねいに書いて欲しかったです。しかし、たくさんの人に息詰まる内容と結末を楽しんで欲しい一冊。
浅谷 佳秀
評価:★★★★★
面白い作品が多く、☆を削るのに苦労した今月の課題図書であるが、その中でも本作は「ダーク」と並んで文句なしに☆5つ。骨太な社会性のあるテーマ、最後まで緊張感を途切れさせない緻密な構成、魅力あふれる人物造形、しなやかで簡潔な描写、スケールの大きさ、迫真のリアリティ、どれをとっても高水準であり、エンターテインメントとしても第1級の傑作だ。
戦後のわが国の、ブラジル移民に代表される移民政策の多くが、なんと残酷な棄民政策だったのかということを、恥ずかしながら私は本作で初めてきちんと知った。移民たちを見殺しにしたわが国の外務省と、富める者には遠慮なくたかるが、困窮している人間には損得抜きで手を差しのべるラテン気質の人々との対比的な描写は強烈である。どっぷり感情移入して読みながら、外務省に腹が立ってしょうがなかった。現実に、ドミニカ移民の集団訴訟の判決が来月6月7日に予定されている。外務省は法的責任を認めようとしていない。本作を読まなければ、私はこの訴訟に興味を持たなかっただろう。
松尾の後日談については、もうちょっと書いてほしかった気もする。だがこの作品通りの終わり方も余韻十分で、これはこれでいい。
荒木 一人
評価:★★★★
三賞受賞作品(大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞)
移民政策を軸にした、犠牲者達の復讐物語。上下巻の二冊組だが、前半は少し暗めで重い話になっており、中盤からは主人公達のテンポも良く、なかなか面白い。構成が非常に上手く、かなり読ませる作品に仕上がっている。読後感は、爽快の一歩手前。
戦後日本の復興の影。戦後最大級の愚政・棄民政策。サンパウロ丸に乗り遙々、衛藤と妻、そして実弟三人は、南米大陸アマゾン流域へ意気揚々と新天地を求めやって来た。そこでの生活は、想像以上に過酷であった。犠牲者達の子孫が母国日本の土を踏むとき、日本政府への報復が始まる。
大藪作品を連想していたので、残念。ちょっと、期待し過ぎたのかも知れ無いが、全体的な緊張が物足りない。史実、政治、恋愛、ハードボイルドと色々な要素を上手く取り込んでいるのだが、スマート過ぎる。根底にある復讐は……少し物足りないかも。
水野 裕明
評価:★★★★★
大藪春彦作品の代表的主人公である伊達邦彦や北野晶夫を彷彿とさせるケイのキャラクター、銃とカーのスペック満載の描写、庶民の視点から描いた政府や外務省のいい加減さと、その政府や外務省を翻弄するケイたち日系ブラジル人二世たち。吉川英治の「宮本武蔵」と、大藪春彦の伊達邦彦を足して、現代の日本で思う様活躍させたと言ってしまうとかなり乱暴な話だが、全体を通してそんな印象を受けた、痛快な一作。
本当に、外務省というか役人というのは昔からなんら変わっていなくて、自国民を守るのではなく平然と棄民して、しかも口をぬぐって自分たちは恬然としてなんら恥じることなく悠々と暮らしている。その体質は北朝鮮の拉致を始め、今もなんら変わっていないのだから驚きというか、諦めというか……。そんな現状にフィクションではあれ、強烈な一撃を食らわすのだから、痛快そのもの。心から楽しめた。