第108回:乾ルカさん

作家の読書道 第108回:乾ルカさん

今年は単行本を3冊も上梓し、『あの日にかえりたい』が直木賞の候補にもなった乾ルカさん。グロテスクな描写がありながらも、ユーモアや哀しみを潜ませて、最後にはぐっと心に迫る着地点を描き出すその筆力の源はどこに…。と思ったら、敬愛する漫画があったりゲーマーだったりと、意外な面がたっぷり。大好きな作品についてとともに、作家デビューするまでの道のりも語ってくださいました。

その3「ゲームにハマる」 (3/6)

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――高校卒業後は短期大学に進学されたんですよね。その頃の読書はいかがだったのでしょう。

:国文科だったのですが、特に志があって選んだわけではなかったんです。高2から国語が得意になってきて、入試が国語の点数が2倍になる方式だったので合格したので入った感じで。宮沢賢治などを読んだんですが......。その頃はちょっと遅れて私の中でファミコンブームがやってきたんです。本も読まなければいけなかったんですけれど、それより狂ったようにゲームをやっていました。当時のファミコンって今から考えるとすごく不親切なところがあって、これはクリアできないだろうというものもあったんです。でも、そういうところが好きでした。

――どんなゲームが好きだったんですか。

:当時は「ドラゴンクエスト3」が出ていて、それを借りてやってみてRPGって面白いなと思いました。それから「ファイナルファンタジー」もやりました。「スーパーマリオ」の初期型もやりましたが、ああいう反射神経ととっさの判断力が求められるものは苦手で途中でやめました。あとは謎解きが好きで、アドベンチャーゲームもやりました。山村美紗さんの「京都龍の寺殺人事件」は推理系ではじめてクリアしたもの。「ミシシッピー殺人事件」というのもありましたが、あれは「マリオ」に続いて途中でやめたゲーム。いきなりトラップがあるんです。船内で殺人事件が起きるんですが、最初にみんなに挨拶しに船内をまわる。自分が3号室で隣が1号室なので、当然、最初に1号室に挨拶しに行きますよね。すると落とし穴があって、落ちて死んでジ・エンドなんです。セーブはできないし聞き込みをしても同じことを2度言ってくれないし、メモの分量も限られているし。これは駄目だと思いました。......という感じで、小説よりはゲームをやっていたんです。今もわりとゲームは好きです。

――短大時代の思い出というと、ゲームというわけですか。

:あとは自転車を盗まれた思い出くらい(笑)。腹が立って探しまくったけれど、見つからなかったんです。

――学校の図書館には行かなかったんですか。

:今思うと大学に併設された図書館で蔵書も多かったので、もっと利用すればよかったと思います。ただ、集英社の『青春と読書』にさくらももこさんがエッセイを書いていたので、毎月それを読むために行っていました。当時『ちびまる子ちゃん』がすごく流行っていたんです。

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